異世界転生特典が微妙
俺...天城 晴はどうやら死んだらしい。
死後説明会かなんかが天使らしきものが行っている。
今だいたい30人くらいいる人全員が今日死んだ人らしい。
俺は一番得意なFPS系のゲームを買うために上京したところ、トラックにはねられた...と思って受け身を採った結果、無人で突っ込んできた自転車にひかれて死んだらしい...自分で考えてもなかなかに複雑な死に方をしたな。
「――――てなかんじで、転生か天国に行くか選ぶことができます!」
――――おっと...?
ふいに中二心がくすぐられる言葉が説明役の天使の口から放たれる。
「では、あそこの扉から転生か天国か選んでください。」
俺はソッコー転生という文字が書かれた扉に早歩きで進みだす。
しかし、意外にも自分以外に転生を選ぶ人がいない。
恥ずかしがってんのかな...まあいっか!
転生の扉を開け、一歩踏み出す。
「おいおいまじかよ...」
「あの説明聞いて"転生"の扉を選ぶ猛者がいるのか...」
「むしろいいところしか話されないところなんて怪しさ万才だろ...」
ん...?
ちょっと聞き捨てならない言葉が聞き取れましたが...?
「出して!出して!」
全力で閉まってしまった扉を叩き続ける。
その懇願むなしく、扉が開くことはないし、謎の力に部屋の奥へ誘導されてしまう。
「あなたがこの世界に転生してくれる人ですか!?」
不安気味に頷く。
「ありがとうございます!差別、魔王、諸々で人が少なくなっていて、滅亡一方だったんです!」
「えーと、転生ってどんな感じなんですか...?」
「あー、聞いてなかったタイプの人ですか。まあそういう人じゃないとくる世界じゃないですしね。」
転生先の世界の神様をやっている、エルを名乗るそれは、嬉々として自分の世界の実情を話し始めた。
―――なるほど。その世界では、非魔力保有者に対してものすごく差別があるらしい。そしてただでさえ人間関係や差別や奴隷などで減っていたらしい。
しかも、最近魔王が出現しただでさえひどい人口減少に歯止めが利かなくなってきたとのこと。
そして、転生特典として今まで自分に持っていなかった"スキル"いうものをもらうことができるらしい。
今カタログを見ているのは転生特典を選んでいるからだ。
「一番おすすめなのは各種の魔力を手に入れるスキルですが...」
ハルはそんな話は全く聞いておらず、スキルカタログを珍味し続ける
そして、面白そうなスキルを見つける。
「では、このソルリンクというスキルにします!」
このスキル、体が思った通りに動くというのがメインらしいのだが、説明文を見る限り反射速度が上がる能力もおまけでついているらしい。FPSで反射速度のせいで負けたり勝ったりしていたハルからしてみれば、そのおまけは十分すぎるメイン効果だ。
「わかりました。では、転生の手続きを行います。」
「あの!性別は女性で!」
ちなみに、ハルは現実でもネカマであった。
「あ、はい。善処します。」
「あと、とびっきりの美女にしてください!」
無言で作業していたがきっと要望はかなえてくれるだろう。何しろ、久々に来た転生者を無下にはできないだろうし。あれ?よくよく考えたらいくら無下にしてもこの部屋から出ることはできなくね?
そういえば、ネットで女性になるのがネカマなら、異世界で女性になるのは"ワカマ"か?
そんなことを考えつつ待つこと数十分。
「では、転生の準備ができたので異世界に送らせていただきます。」
「はーい♡」
体はゴブリン。心は男。性別は女。みたいなモンスターが生まれないことを願いつつ光っている魔法陣の上に乗る。
「それでは、頑張って生きてくださいね。ご健闘をお祈り申し上げます。」
落ちるような。浮かぶような。不思議な感覚に陥りつつ、体が光に包まれていく。




