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さよならラララ  作者: mihiro☆
17/26

私の好きな人

海です。

短いです。

<アヤカ目線>

 わたしのすき

 と

 かれのすき

 


 どう違うんだろう?

 それとも一緒なのかな?

 一緒ならどうしてあの時返事もしないで逃げ出してしまったんだろう。


 違うなら今まで私は何に恋してたのかな。


 ユウキを知らない男の人みたいに感じた。

『あの日』から

 私は自分の気持ちを見ないようにしてた。


 薄っぺらな自分に気付かないように……。


 ユウキが

 あんな風に

 強引に

 抱き締めたりするなんて 思わなかった。


 その行為に

 ユウキの『本気』を感じた。


「恋に目覚めて急に雄になったユウキに引いた訳だ。」


 海で

 波打ち際で

 素足で

 波に飲まれながら。

 ヒロくんに言われたあの一言が、


「ユウキに応えられないのはさ。アヤカが本当の恋を知らないからだよ」



――胸に突き刺さった。


 すきだすきだといいながら、相手の本気がこわくなる。


 今までは私の独り相撲だった。

 独りで恋に酔って。

 独りで諦めようともがいてたんだ。


 初めて向き合って相手の顔が見えた時、我に返った。


 海で

 砂浜で

 タバコをくわえながら

 ヒロくんは言った


「ユウキは、そんなお子ちゃまなアヤカがいいんだよ」


 ユウキに恋人が出来て


 別れて


 嫌がらせが始まって


 告白された。



 私の小さな脳ミソは

 この目まぐるしい変化に付いていけず

 混乱し

 心が麻痺していた。


 度重なる陰口や嫌がらせ。

 もし、私がユウキと付き合ったら、更に嫌がらせはヒートアップするんじゃないか……。


 そんな風に考える程、疲れ切って怯える自分もいた。


(ユウキは守りたいって言ってくれたのに……)


 私は信じられないでいる。

 自分しか見えない。


 自分だけが可愛いんだ。


――なんて薄っぺらな私の恋心


 あんまりに子供っぽくて

がっかりし過ぎて涙が出る。


「俺にすれば?」


 空耳かと思った。


「そんな辛くなる相手なんてやめて、俺にすればいい……」


 意地悪で

 自信家で

 憎めない幼なじみが

 そっと私を抱き締めて言った。


 頭が真っ白になる。


「何も考えなくていい。そのままのアヤカでいればいい。ただ俺の隣にいればいいよ」


 冗談には聞こえない。


 耳元の少し早い鼓動と


 静かで優しい声。


 思いがけなくて

 本当に

 予想もしてなくて

 戸惑う


――何も考えずに……。


 このままの私で。


 疲れ切っていた私には

 それは本当に

 甘い甘い誘惑


 このまま頷けば、この堂々巡りから抜け出せるのかな?


 誤解や中傷にまみれた毎日を忘れる事が出来る?


 この淡い

 幼い

 恋心も


 消し去ることができるのかな?


 耳元の鼓動と

 波の音が

 私の思考を鈍らせる。




――このまま頷けば……。



 そう思えば思う程

 胸に込み上げてくる


 あの



 淡い

 幼い

 恋心



 瞼に浮かぶのは

 大好きな



 彼の

 はにかんだ

 柔らかい笑顔。




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