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さよならラララ  作者: mihiro☆
16/26

幼なじみのキミと僕

ヒロキ再び登場

<ヒロキ目線>

「ヒロくん、手つないで」

 恥ずかし気もなく手を伸ばしてくるキミ。


「ヒロくんってなんでも知てるんだね」

 感嘆の表情を隠さず真っすぐに見つめるキミの瞳がくすぐったかった。




『弟はいるけど、ないものねだりで妹が欲しかった。だからキミが慕ってくれて僕はとても嬉しい。


 でも、弟がいやでも付いてきて邪魔だなぁっていつも思っていた。

 まぁ、かわいい奴だけどね。

 にぃちゃん、にぃちゃんってうるさいけど。


 キミにはそう感じないのが不思議。

 大人達からも僕とキミがお似合いだって言われてるよ。ちょっと照れ臭いし、子供相手に何言ってるのって思うけど、悪い気はしない。

 キミにユウくんとヒロくん、どっちがいい?

 とか聞いちゃう辺り無神経だと思うけどね。


 まだまだキミは子供。

 いつかもっと大きくなって、美人になったら考えてあげてもいいよ。


 ユウキと取り合うのだけは勘弁。

 弟の物を取る程、僕は子供じゃないからさ。』



 いつか、机の整理をしていた時、引き出しに挟まった日記の切れ端のようなものを見つけた。

 確かに小学生の頃、日記のような手紙のような物をたまに書いていた気がする。


 読み返して笑ってしまった。日記の中の『キミ』に明らかに恋している『僕』

 それに気付かない振りをして、『僕』は大人になり『キミ』の存在を忘れてしまっていた。


――こないだ久々に会って驚いたな。


 柔らかい揺れる髪は昔のままだったけど、クルクルとよく動く黒目がちな瞳とほんのりピンク色の口元がアンバランスで逆に魅力的に見えた。


 自分の周りにはいないタイプだ。

 子供と大人の間に彼女はいる。


(あの表情は可愛かったな……)

 顔を近付けただけで赤く染まる頬。

 思わずハンドルを握りながらニヤリと思い出し笑いをしてしまう。


(ユウキもある意味可愛げのある反応だったし)


 明らかにアヤカに気がある反応。弟のあんな姿を見るのは初めてだった。


 いつも周りに気を遣ってるのか、鈍いのか

 自分の気持ちを押し殺すタイプだから、

 あそこまでハッキリと敵意を持たれると逆に愉快になってしまう。


――色々葛藤してそうだ。


 そうほくそ笑む自分も相当捻くれてるんだろうなと思う。

 よく周りにも腹黒いって言われるし。天の邪鬼なのだ。


 母校が見えてきた。


 ユウキやアヤカも通う高校。

 大学の帰りやバイトの帰りは自宅までの近道にこの道を通る事が多い。


 カーブを曲がりながらふと校門の方を見る。


 見知った人影が目に入った。少しスピードを落としバックミラーで確認する。

(アヤカ?)


 今までも下校する姿を見たことがないわけじやない。一度くらいは送った事もあったと思う。


 それでもいつもとは違う異様な光景に車を止めた。

 校門を出て曲がった所で、数人の頭の悪そうな男たちがアヤカに絡んでいるのだ。


 まるで待ち伏せでもしていたかの様に。

 約束していたようにも見えない。

 

 男の一人が逃げるように俯いて早足で歩くアヤカの肩を――掴んだ。


 すぐに車から降りて声を掛ける。

「アヤカ!」


「……ヒロくん?」

 途端に泣き出しそうな安堵の表情を見せる。


「この子になんか用でも? なんなら俺も一緒に聞くけど?」

 言ってる間に口惜しそうに顔を背けながら散り散りに去っていく男たち。


「何だ? あいつら。大丈夫か?」


 怪訝に思いながらアヤカに目を移す。


「あ……ありがとう。知らない男の人たちなんだけど、急に声かけられてビックリした……」


 端からみても好意的な感じにも見えなかった。


 やはり怖かったのか胸を手で押さえて、落ち着かせるようにして小さく震えている。


 さっきの男に掴まれた同じ肩にそっと手をかける。


「……送ってくよ。乗って」


 少し驚いてから安心したように「うん……」とアヤカは頷いた。


「これからは少し気を付けた方がいい」

 エンジンをかけながらアヤカに話し掛ける。

「え?」

「あんまりタチのいい奴らには見えなかったから。これからは当分友達とか……あ、ユウキに言って一緒に帰ってもらった方がいいんじゃないかな?」


 男たちの嫌な雰囲気が気になった。


「……でも、友達もユウキも、部活とかあって忙しいだろうし……」


 貧血持ちのアヤカは部活に入っていない。

 周りは色々忙しくしてるのかもしれない。


 そう考えながらユウキの名前に過敏に反応したような気がして言葉を続ける。


「ああ、ユウキは彼女いるんだっけ?」


 目の端でアヤカの体がビクリと揺れたように見えた。

「彼女とは……別れたって……」

「へえっ。振られたとか?」

「……違うと思う」


――っていうと振ったのか。 

 ふーん。とユウキを見直す。アヤカの様子を見るとアヤカにも自分から言ったみたいだし、つまり……。


「雄が狙う雌は彼女じゃなかったわけだ」


 信号は赤。明らかに動揺するアヤカをまっすぐに見つめる。

「目覚めた雄は本気だよ。どうするの? アヤカ」

 茶化し過ぎたのか黙り込んでしまう。


 動きだした車を操りながらチラリと助手席を見ると鞄を抱いて前を見つめていた。


 その瞳は潤んでいる。


 目の前の信号を左に曲がれば家に着く。

 信号は青。アクセルを踏む。

 俺は真っすぐに車を走らせた。



「ヒロくん? どこ行くの?」

 不思議そうにこっちを見る視線を感じる。


 とくに行き先は考えてなかった。

 ただ、このまま返したくなかっただけだから。


「どこ行きたい?」

「……いきなり聞かれても……」

 戸惑うアヤカに愉快な気持ちになる。

「そりゃそうだ」

「ヒロくん? またからかってるでしょ?」

 見なくてもあのかわいい頬が膨れているのがわかる。

「……俺がアヤカといたいんだ。もう少し付き合ってよ」

 信号で止まっている時にアヤカの顔を見ながら言う。断られない為に。


「……いいけど……どこに?」

 頬を染めてしぶしぶオーケーを出すアヤカの頭をポンポンと叩く。

「サンキュ。そうだなぁ、とりあえず海行くか」

「なんで海?」

「定番でしょ?」


 若い二人が揃えば海なんだよ。そう言うと、アヤカはオジサンみたいとクスクス笑った。



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