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さよならラララ  作者: mihiro☆
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二人から一人

初めての小説☆

誤字脱字だらけかも…。

マイペースにがんばります。


*所々書き直してます。よかったらまた読み返してみてください。

――こんな気持ちになる日がくるなんて……。


 突然突き付けられた現実に気持ちが付いていかない。


「……え?」


 彼のサラサラの前髪が色づく頬にかかってるのが眩しい。

 思わず目を細める。放課後の傾いた日差しが廊下に射し込んで、宙を舞う埃たちがキラキラ光ってる。

 まるで現実感がない。


「今日から、か……彼女と帰るから……」


 突き付けられた現実。

 恥ずかしくて仕方ないというように彼の頬は次第にピンク色に染まっていく。


――こんな顔見たことないよ。

 ずっと一緒にいたのに……。


「ユリちゃん?」


「あぁ……うん」


 恥ずかしくて仕方ないように目をそらしてソワソワする彼の仕草にグラグラする足元。


「わかった……ユリちゃんによろしく」


 平静を取り繕って口の端を上げた。なんとか笑顔らしいものになってるだろうか。口元が引きつるのが分かる。

 

「ん、ゴメンな……気を付けて帰れよ」


「うん……」

 明らかにおかしい反応にも彼は気付かない。

 心はもうカノジョの元へ。

 少し気遣わしげに柔らかく笑って、足早に廊下を駆けていく。

 その先にユリちゃんが待っている。

――ユウキの初めてのカノジョ。

 こんな思いをする日がくるなんて……。


「アヤカ?」

 教室に戻る私に友達のエミが心配そうに声をかける。

「すごい顔色。大丈夫?」

「エミ……」

 心配してくれるエミにも曖昧に微笑むことしか出来ない。

「うん……大丈夫」


――なわけない。

「なわけないじゃん。貧血?保健室行く?」

 心を読まれてるかのような反応にやっと少し笑えた。

「本当、大丈夫。あと帰るだけだし」

 あと帰るだけ。さっきのユウキのはにかんだ笑顔と一人の帰り道。それを思うとズンと気が重くなる。


――これからはもうずっと一緒には帰れない。

 今までのようにユウキとずっと一緒にはいられない。

「……大丈夫ならいいけど。私は一緒に帰れないし

アヤカは貧血持ちなんだから。無理はしないで」

 本当に心配そうなエミに思わず苦笑する。エミはいつだって私に過保護だ。


「ありがとう。だいたい方向も違うんだし、心配しないで」

 委員長をやってるエミはいつも帰りが遅い。家の方向も真逆。


 ユウキと一緒に帰ってること。

 ユウキと幼なじみだということ

 それ以上の「私のキモチ」をエミは一番知ってる。


 ユウキにカノジョができたことも、そしてたぶん、今日からもう一緒に帰れないことも……。


「じゃあ私行くから。気を付けて」

 肩をポンッと叩いて出てくエミ。

 エミを見送ってから、教室の窓から校庭を見る。


 サッカー部は今日休みらしい。ユウキはサッカー部の二年。ユリちゃんはサッカー部のマネージャー。

 まるで物語みたいな恋愛。脇役に追いやられた私には暗幕の裏で出番すらない。


 小さい頃からの腐れ縁。

 親同士の付き合いでユウキと私はずっと一緒にいた。

 反抗期も、思春期も

 これからもずっと一緒にいられると思ってた。


 私がユウキを想うように

 ユウキも私を想ってくれてるのだと、ずっと信じていた……。


――考えてみればイタイ女かもしれない。


「ユウキくんからは恋愛の匂いがしない。

まだ男の子って感じ」

 まえにエミが言ってた。

 まさにそうだったんだ。でもそこが良いと思ってた。今は、それでいいと思ってた。一緒にいられればそれで。


 まさかユウキが恋に目覚めるその相手が、「私」

ではないなんて考えたことなかったから。


 ユリちゃんに告白された1週間前

 ユリちゃんと付き合い出した3日前


 部活の無い日はいつも一緒に帰ってたのにもう一緒に帰れない今日。

 この事実がこんなにも辛いなんて……。

 信じていた世界が足元からグラグラと脆く崩れていく。

 その現実を認めるには余りにも長く二人の絆を過信しすぎた。

 

 私は誰もいなくなった教室で、流れる涙をそのままに、

 先の見えない真っ暗な世界へと一歩踏み出す勇気をため込んでいた。

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