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皇帝神の戦いは永遠に  作者: Amenbo
第1章 絶氷の章
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第6話 森の中の大蛇

ミリル(森の中には入ったものの…蛇らしきものが見えない………もっと奥かな…………)


ミリルはペースを落とすことなくどんどん前へ走っていき、周辺が段々と暗くなって光で頼りになれるのは月の光だけであった


ミリル(……私に記憶が無いのも…突然夢に出てくるあの人も…さっきの幻覚も……きっと何かがあるんだ…記憶を失う前の私が大事なことをしていたんだ……それなのに何もしない訳にはいかない…)


ミリルがそう思いながら走っていると横から暖かい空気と葉音を感じ、ミリルは慌ててポケットから収納型非常用剣を出した


ミリル「あっぶない…これ貰ってなかったら食べられてたかも…」


横から現れたのは恐らく報告にあった蛇の魔物で、剣の全長と同じぐらい口を縦に開くことが出来ていた


ミリル(すごいパワー…このままじゃ左手が剣で切られちゃう…)


ミリルが一旦左足で蛇の顎を思いっきり蹴り飛ばすと剣を口から外すことが出来、後ろへと引き下がった

その時に足元に段差のような感覚があり振り返ると血だらけになって下半身や上半身欠損してる騎士がたくさんいた


ミリル「っ……間に合わなかった……」


ミリル(蛇は夜でも目が良いのかな…とりあえず動きを止めないと…)


ミリルは剣を構えて蛇を見ると、蛇は一気にミリルの方に突進しミリルは横へ避けると蛇がぶつかった木は砕かれて倒れてしまった


ミリル(アレぶつかったら即死!?…とんでもない強さ…注意しないと…)


蛇はもう一度ミリルの方へ突進し、またミリルが横へ避けると今度は尾の方でミリルを叩こうとしてきた


ミリル「うそぉっ!」


ミリルは急いでしゃがみ、なんとか回避することが出来た


ミリル(こういう時魔法って言うのが便利なんだね…何か使えないのかな…何でもいいから使えるもの…………ダメだ何も浮かばない……とりあえず剣で何とかするしか………相手の体は長くてここは森林地帯………これで行ってみるか…)


ミリル「さあ蛇さん!私を追いかけてみなさい!」


ミリルは森の奥へと走っていき、蛇の魔物は追いかけるかのようにミリルを追跡した


ミリル「そうそう!そのまま私を追いかけて!」


ミリルは森の中をくねくねと曲がりながら走っていき、蛇の魔物がただひたすらミリルを追いかけていると突然体が動かなくなったことに気づいた


ミリル「ふふん!作戦通り!いつの間にか自分の体で引っかかっちゃってるのに気づかなかったようだね!…それじゃあ…トドメ刺さないと…」


ミリルは剣で蛇の魔物の首の上から剣を刺そうとするとまた両隣から葉音が聞こえ慌てて後ろへ飛ぶと目の前にもう2匹の蛇の魔物がいた


ミリル(仲間がいたんだ…)


ミリルが警戒してるとジュゥゥという音が聞こえ剣を見ると何かの液体で溶けていることに気づいた


ミリル(嘘…剣が溶けてる…使い物にならないよこれ…)


蛇の魔物はなんとしてでもミリルを始末しようとしてるのかミリルに襲いかかり、何も武器を持たないミリルはただ避けるぐらいしか出来なかった

蛇の魔物があと2匹もいるとはミリルも予想にしていない状況でどう戦えばいいと悩んでいた


ミリル(これ無理だよ…やっと1匹抑えたというのに…剣も溶けて…素手で勝てるわけないじゃん………助けて…誰か…誰か来て……1人じゃ無理だよ…)


ミリル「誰か……来て…」


蛇三体が同時にミリルへ襲いかかろうとしていた時に上から炎の渦が落ちてきた


ミリル「……っ…炎…」


空には炎の魔法陣を浮かべているユスタルがいて、蛇は炎で焼き尽くされ焦げた匂いを出していた


ユスタル「ミリルさんここで何してるんですか…?大蛇が三体も出るなんて…こんなことあるんですね」


ミリル「ゆずだるざんがぎてぐれでよかっだぁぁぁ」


ミリルは涙を流してユスタルの肩をつかみ前後に揺らして安心して、ユスタルは魔導具でミリルのおでこにポコと叩き動きを止めた


ユスタル「こんな夜に1人でこんなところにいるなんて何考えてるんですか脳内お花畑ですかね」


ミリル「…私が行かなくちゃって思ったの……なんか負傷してる騎士さん達を見たら私は見過ごしていいのかって…」


ユスタル「………フロイゼンの騎士達がやられてしまったのですね…」


ミリルは命を落としてしまった騎士達の所へ行き、両手を合わせて頭を下げた


ミリル「……私がもっと早く来ていたら…この人達を守れたのかもしれない…そう思うと自分の鈍感さが憎くなってしまいます」


ユスタル「この森に大蛇が出ること自体おかしいんです、少しこれは調査が必要ですね。それにもうそろそろ騎士達が来るはずです」


ミリル「騎士達…」


ユスタル「ミリルさんがここに居ると何かしら事情聴取はされてしまいますので一旦僕の家に行きましょう。」


ミリル「私門の外に急いで走っていったの見られちゃってるのでどちみち聞かれるとは思います…」


ユスタル「そうですか…なら残りましょう」


デヴィア「……っ!少女!ユスタル!」


ユスタル「団長、貴方が来てくれたんですね」


デヴィアは風の魔法で移動速度を早めながら他の騎士達を連れて走ってきたようで息切れなどはしていなかった

ユスタルとはやはり面識があるようでミリルはデヴィアに色々言われるとビクビクしていた


ミリル「ででデヴィアさん!?」


デヴィア「少女…何故こんな所にいてユスタルと一緒にいるんだ?」


ミリル「あ、あのー…そのぉ…蛇の魔物が出たと言って…騎士の人達が来るまでにやられちゃうのかと思って…」


デヴィア「この馬鹿者!まだ戦闘経験がない者が勝手に行くんじゃない!行く事が出来るのは経験ある者を近くに置くか経験を積んでからだ!その気持ちは褒めてやりたいところだが自分の状態を把握出来てないのは些か褒めれない、恐らくユスタルが仕留めてくれたんだろう…こいつがいなかったら少女が生きてるか怪しかったところだな…」


ミリル「ユスタルさんは本当命の恩人です、2回も助けられちゃいました…」


デヴィア「へぇ、それはそれはカッコイイ王子様みたいだなぁ」


ユスタル「その言い方だけはやめてください団長!」


デヴィア「あははっ、似合うと思うんだがねぇ…お前達!急いで死体の回収と大蛇を鑑定課に運べ!私と……ん?あいつが居ないぞ?リーンハイトはどこだ!」


リーンハイト「団長ぉ…僕を置いて先に出発しないでくださいよォ…」


奥から黒と紫が混ざったような髪色をしたデヴィアと同じ目の色をした弱々しい男性騎士が現れた


デヴィア「…ん?お前どこ行ってたんだ?」


リーンハイト「トイレ中に呼ばれて慌てて行こうとしても既に出発したとか言われたし!ちゃんと確認ぐらいしてよ!」


デヴィア「あー…すまん…急いでたもんで…」


リーンハイト「団長としてあるまじき行為ですよ!…というかユスタル兄さん!ここで会えるなんて…!」


ユスタル「リーンハイト君、お久しぶりです」


リーンハイト「お久しぶりです!それと…貴方は?」


ミリル「あっ…初めまして!ミリルです!」


リーンハイト「もしかして迷子…?」


デヴィア「違う、少女が大蛇を倒そうとしてたんだ」


リーンハイト「ええっ!?どこも怪我してないよね!

ミリル…ちゃん?が白いから汚れとか傷とか目立っちゃうし…」


ミリル「私なら大丈夫です」


デヴィア「とにかくリーンハイト、今から私と一緒に他の大蛇がいないか探しに行くぞ。ユスタルはどうせ事情聴取とかめんどくさいとか思ってるだろ?私が話しておくから家に帰ってるといい。ユスタルが魔法で仕留めたと上には報告しておくさ」


ユスタル「本当にそんな適当でいいんですかね…」


デヴィア「ユスタルは信頼があるからだ、とりあえず少女。お前は急いで帰るといい、後のことは私達に任せろ」


ミリル「デヴィアさんなら安心です!」


ユスタル「誰かが変に突進して行ったからですよ…それでは門まで送りますから」


ミリル「いえ!大丈夫です!道は覚えてます!」


ミリルは自信満々で親指を出して、ユスタルは信じてないような顔してため息ついた


ユスタル「貴方を1人で歩かせるとまた危ない目に合うかもしれないじゃないですか」


ユスタルはミリルの体を魔導具で拘束し、風魔法で持ち上げて運ぶことにした


ミリル「分かりました!分かりましたからこの運び方だけはやめてくださいーー!」


ミリルが抜け出そうと暴れていたがユスタルの怒っているような真顔を見た瞬間、ミリルは固まりそのまま素直に従うようになった


ユスタル「それでは僕はミリルさんを送ってきますね」


ユスタルはそう言うと風魔法でそのまま空を浮かび、グレイスに飛んで行った

ミリルを拘束してるのは縄の形の魔導具で縄を持ってる者の魔力の強さで拘束力や強度が上がるものであった


ミリル「意外とこれ楽でいいかもです!」


ユスタル「それなら前から襲いかかってくる暴風を受けてみますか?顔に激痛が走りますけど」


ミリル「イイエ!イヤデス!ユスタルサンヤサシーイ(棒)!」


ユスタル「それよりもミリルさんは自分の武器を買った方が良さげですね…お金は…まだ無いですよね」


ミリル「今日お使いのクエストしたので多少は入ってますよ。お小遣いも少し貰ったので!」


ユスタル「それでも多分全然足りないと思います、強度とか色々持久性を求めるなら50万マギアぐらいは少なくとも…」


ミリル「……また借金ですかね!」


ユスタル「…ミリルさん今の時点で30万あるのに大丈夫ですか?」


ミリル「うーーん…未来の私が何とかしてくれます!」


ユスタル(本当に大丈夫なのだろうかこの人は…)


ユスタルは門の近くに着くと前とは違い、自身とミリルに何かの魔法をかけていた


ミリル「?…これって…」


ユスタル「簡単に言えば僕たちの姿が見えなくなる魔法です。このまま門から入りましょう、門番に色々言われるのは目に見えるので…」


ミリル(なんかちょっと悪いことしてる気分…!)


ミリル「でも足跡とか…」


ユスタル「だからこの魔法も一緒に使うのです」


ユスタルは魔法陣を出すと、いきなり猛吹雪が降り始めた


ミリル「うわぁっ!…凄い吹雪…!」


ユスタル「これなら足跡も気にならないはずです」


ミリル(ユスタルさん下手すれば高等な犯罪者になれる未来もあるよね……)


ユスタル「僕は犯罪者とかになるつもりありませんので変に心配しないでください」


ミリル「私の心を読まれた…!?」


ユスタル「そんな怪しい顔で見られたらそういう類なんだろうって推測できるんですよ」


ミリル「洞察力凄いですね…」


ユスタル「とりあえず早く入りましょう」


ミリル「あれ、門までじゃ…」


ユスタル「ミリルさんがちゃんと安全地帯に行くまでは見ときます、また面倒事起こされたら大変ですからね」


ミリル「うぅ…」


2人はそのままこっそりグレイスに入り、ミリルの使ってる宿の目の前に着いた


ユスタル「ここ使ってるんですね…」


ミリル「はい!ここ2週間無料なので!ご飯も出るんですよ!」


ユスタル「良かったですね…それでは僕はここで失礼します」


ミリル「あっ…ちょっと待ってください!」


ユスタルはミリルに呼び止められ、振り返ると頭を下げているミリルがいた


ユスタル「えっ?」


ミリル「…先程は助けてくれてありがとうございました!ここまで送り届けてくれて…私ユスタルさんを一生尊敬します!こんな優しい人に巡り会えたなんて幸せです!」


ユスタル「大袈裟ですよ、ただミリルさんがあまりにも放っておけないほど無知だったので」


ミリル「あはは…そこは否定出来ませんね……それで良ければなのですが…あっ!断っても大丈夫なので!」


ユスタル「…?」


ミリル「その…私に戦い方と武器の選び方を教えてくれませんか!…デヴィアさんは忙しそうで…リヴィットさんや連合の方達は会えるか分からないので…」


ユスタル「明日は…夜までなら大丈夫ですよ。そうですね、見に行きますか」


ミリル「最高です師匠…」


ユスタル「弟子入りを認めた記憶は無いです、とりあえず明日の朝の11時に噴水前で集合でいいですか?」


ミリル「分かりました!…それではおやすみなさいユスタルさん!」


ユスタル「おやすみなさい、朝まで大人しく寝てるんですよ」


ミリル「はい!」


そうして2人は自分の部屋に入りお互いのベッドで寝始め、1晩が過ぎた


ーフロイゼン城ー

リディア「…大蛇の討伐で屍兵が15名……騎士団はそこまで落ちぶれたのかしら…」


カルミア「そうね…安心してリディア。貴方は誰にも負けない強いんだから。騎士団如き警戒する程でも無いわ、とりあえず貴方はこの国の結界を直さないといけないわ」


リディア「そうよね…私が民に負けるはずがない…早く順応してくれれば良いのだけど…お母様から託されたこの力………………でも民には無実な人もいるわよね…その人達まで巻き込むのは違う気がするの」


リディアの目が一瞬青色になっていたがカルミアがリディアのおでこに手で触ると、リディアはまるで洗脳にかかったかのようにボーッとした顔をした


カルミア「先代権主様は民達が殺したの、ならば連帯責任でしょう?無実な人なんていないわ。見過ごした人も見殺しと同じだもの」


リディア「そうだよね…早く殺してしまいたい…お母様の痛みを民全員に思い知ってもらうのよ!」


リディアの目はまた赤くなり、カルミアは不気味な笑みを浮かべていた
















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