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皇帝神の戦いは永遠に  作者: Amenbo
第1章 絶氷の章
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第20話 不穏

リエガ「挨拶がまだだったわね、私はリエガ。リエガ・アドミニスよ。アドミニス公爵家の当主で主に魔導具の管理をしているの」


ミリル「こちらこそ挨拶が遅れてしまい申し訳ございません!私はミリルです!魔導具の管理ということはユスタルさんが発明した魔導具も管理してるんですか?」


とある建物の応接間で立ちながら会話しているリエガとミリルは戦いの間お互いのことを何も知らずにいた為自己紹介をしておこうという形を取っていた


リエガ「そうよ〜彼の魔導具は重要部類に入るほど優秀なものばかりなのよ、もし使いたかったら私にお願いする事ね〜」


ミリル「何を開発してるのかいまいち分からないので今は大丈夫ですね…あ、そういえばあの時に使っていた伸びる鞭…?みたいなのも魔導具なのですか?」


リエガ「そうよミリル、No.48 エンジェリア というの。これもユスタルが開発してくれたやつで1番短い状態にすると剣なんだけど魔力を込めて調節すればこうやって刃が分裂して伸縮するの」


リエガはエンジェリアを出して魔力を込めると魔力が刃の分裂体を繋ぎ止める役割となり、まるで鞭のようになったのだ


ミリル「わああすごいです!」


アイシュレイズ「……………」


リエガ(…この子がアイシュレイズ…だっけ?ミリルの

従者っぽいけど…どうみてもこの子が圧倒的に強いわね…私に対する威圧感も少し感じるし…私なにかしちゃったかしら…)


リエガ「アイシュ…レイズ……?」


アイシュレイズ「……………」


アイシュレイズの名を呼んでもアイシュレイズは真顔のまま表情筋ひとつも動かさずにただ真っ直ぐ向いていただけだったのだ

公爵という立場が理由で今までの人生で挨拶を無下にされたことがなく、リエガは多少の苛立ちを感じていた


リエガ「あ、あら…?聞こえてなかったのかしら…?」


ミリル「こらアイシュレイズ!挨拶されたら返すのが礼儀でしょ!」


ミリルはアイシュレイズの右頬を指で軽く捻って注意するとアイシュレイズはミリルの命令ならするしかないと判断し、興味無さそうに挨拶をした


アイシュレイズ「はびめまひて、あいひゅれずです」


ミリル「そんな冷たい挨拶の返しはないでしょーーー!」


リエガ(目線的に私の何かが気に入らないと言わんばかりの…)


アイシュレイズ(陛下の力になれない弱者に親しくするのは…もう意味が無い…ベーゼを倒すには陛下と私が全盛期の域まで行かなければ…本来ならばこんな和気あいあいとしている場合では無いはずなのに)


アイシュレイズとリエガの間に険悪な雰囲気が流れていると扉からアルフェミアとリヴィットが現れ、アルフェミアはミリルを見るとすぐにミリルに抱きつきに行ったのだ


アルフェミア「ミリルお姉ちゃん!」


ミリル「アルフェミアちゃん!元気そうでよかった!」


アルフェミア「ミリルお姉ちゃんこそです!親玉と戦ったと聞きました!ご無事で何よりです…!」


リヴィット「リエガはもう全快したか?」


リエガ「ええ、まぁね。そういえばデヴィアは?」


リヴィット「しばらく野外訓練すると言ってな、国からの招集以外はここに年単位で戻らないとさ」


リエガ「あの子負い目感じてるのね……私もまだまだだわ…フロイゼンを脅かす敵を必ず倒さないと…」


リエガがそういうと黙っていたアイシュレイズが口を開いたのだ


アイシュレイズ「貴方達が倒せる敵ではありません。この件は私と陛下のみで十分です。人間が神に勝つなんて…無謀の無謀です」


アルフェミア「え、えーと…」


ミリル「このお姉さんはアイシュレイズって言うの。私の仲間でね…ちょっと今機嫌悪いみたいだから気を悪くしちゃったらごめんね…」


アルフェミア「う、うん…」


リヴィット(アイシュレイズっていう名前なのか………)


アイシュレイズ(エンディは本気を出していなかった…恐らく目的が陛下の死ではなく別にある……エンディ程の実力者なら今の陛下を容易く殺すことが可能……私たちは生かされている…………一体陛下の何を求めているの…神権を操作できるのは陛下以外の神では存在しない…神格は所有者のみが絶対として決まっているから……)


ミリル「とりあえず皆さん無事そうで良かったです!

ユスタルさんはどうですか?」


リヴィット「あいつならプライドがやられたのかずっと魔法書を読んでるさ。大魔法師なのに呆気なくやられてしまったと」


ミリル「大事になってないようで良かったです……会える人達には会えたのでひとまず私達はここら辺で失礼します!」


リエガ「ええ、またパーティーで会いましょう」


ミリルとアイシュレイズが部屋を出るとリヴィットとリエガは安堵した顔でため息をついていた


リヴィット「……アイシュレイズの殺気…やばくなかったか」


リエガ「私達も巻き込む程の殺気だったわね、ミリルが全然気にしてる様子は無かったけど…慣れているのかしら………」


その2人が警戒している時にミリルとアイシュレイズは建物から出て、ミリルの部屋がある宿に向かっていたのだ


奥まで並ぶ中世風の建物に挟まれた石のタイルの道を歩いているとたまにある小道が目に入った

そこには寝袋の中で寝ている人が数人ぐらいおり、寒そうにして体育座りしてる人も何人かはいた


アイシュレイズ「…貴族社会というものはこういうものなのです、陛下。弱き者は落ちていき、強き者は弱き者を犠牲にして成り上がる…救おうだなんて思わない方が良いでしょう。キリがありませんから、あの方もきっとそう仰るはずです」


ミリル「…でも…寒そうだよ…」


アイシュレイズ「…その善意の同情によって返ってきたのが恨みなんてこともありますから」


ミリル「…うん…」


ミリル(今まで地位の高い人達としか会ってないから…低い人達のこと考えたこと無かったな……こんな寒い外でずっと暮らさなきゃいけないなんて…私もユスタルさんと出会わなかったらきっとこの人達みたいに…)


暗い気持ちで宿の前に着き、自分の部屋がある階まで階段で登ろうとした瞬間宿の主人に止められたのだ


主人「おい待ってくれ!そこの白髪のお嬢さん!」


ミリル「…?宿主人さん…?」


主人「やっと帰ってきたかぁ…君の契約期間は切れていてねぇ…すまないが空き部屋も既になくてねぇ…」


ミリル「えっ、もう!?」


アイシュレイズ「他の宿でオススメのものはありますか」


主人「そうだねぇ…ここから徒歩12分…位のところにでっかい宿があってな。そこならもしかしたら空いているかもしれない」


ミリル「…分かりました、教えてくれてありがとうございます」


アイシュレイズ(陛下を困らせるなんて…落ち着きなさいアイシュレイズ…この者は陛下の素晴らしさを理解していない人間…)


ミリルとアイシュレイズは元部屋の荷物を片付けて主人が言った宿屋へ向かうこととした


フロイゼンの首都グレイスは他の国にいる権力を持つ者達がフロイゼンの権力者と触れ合う為に宿泊したり、冒険者達の活動拠点としても利用されている


そして2人が辿り着いたのはキラキラと輝いた如何にも金持ちが利用しそうな宿であった


ミリル「絶対場違いじゃない…?アイシュレイズ…予想してたのはもっと地味な感じの…」


アイシュレイズ「此方こそ陛下が暮らすべき処かと!…しかし先程の宿よりは大きいとはいえほぼ初級神の家より小さいですね…宿の者に少し交渉をしてきます」


ミリル「……アイシュレイズ…え、ねぇ…何しようとしてるの…?」


アイシュレイズは何も気にしていないような顔をしながらその宿へ向かっていき、警備員はお客なのか危険な客なのか判断が出来ずアイシュレイズの方を注視して警戒をしていた


警備員「あ、あの…お客様…?どのような要件で」


アイシュレイズ「この宿の最高責任者を呼びなさい」


警備員「…最高責任者…ですか?」


アイシュレイズ「この宿を私の主様に献上するべく交渉をしたいのです」


ミリル「ちょちょちょ!警備員さんを困らせちゃダメでしょ!ほら!謝って!」


ミリルが必死にアイシュレイズの様子のおかしい行動を止めようとしていたが、仮にも皇帝神であり自分の大切な主であるミリルが人間の中でも平凡な者が使う宿に泊まらせるなど考えられなかったのだ


アイシュレイズ「…………」


?「私がここの最高責任者であるメイゼル・ライダーです」


受付の奥あたりから落ち着いた様子で30代半ばの如何にも貴族と言わんばかりよ風格を持つ男性が歩いてきたのだ


アイシュレイズ「本人が出てきてくれて手間が省けました。交渉です、この宿の所有権を譲渡してください」


メイゼル「それは出来ない相談ですねお客様、この宿はライダー伯爵家が代々受け継いできたものでございますので簡単にお渡しすることは出来ません」


ミリル「本当に譲渡とかしなくていいです!アイシュレイズ大人しく普通に泊まろうよ!他の人に迷惑をかけないで!!!」


アイシュレイズ「最も尊き貴方様には最上級のものをお使いになられることが絶対です」


メイゼル(金髪青眼の女は見るからにあまり喧嘩を売らない方が良さそうだ……隣の銀髪か白髪か分からないがバカそうな女は特に危険要素は無しか…)


アイシュレイズ「貴様今陛下のことを侮辱したな」


メイゼル「私がお客様を侮辱するはずがございませんよ」


アイシュレイズ「目は誤魔化せませんよ」


メイゼル(思考を読み取られたわけではなさそうだな…しかしこの女鋭すぎる…)


アイシュレイズ「それと…ここの下から変な感覚がするのですがちゃんと管理はされているのでしょうか」


アイシュレイズが冷たい目でメイゼルを見ながら、人差し指で下を指した

感覚が人間の何百倍以上も強い神遺聖故なのだろか


メイゼル「…………ここの下となりますと倉庫となっております。変な感覚がするとは具体的にどういうものでしょうか」


アイシュレイズ「鋭利な悲鳴が…」


ミリル「もう出るよ!アイシュレイズ!!!」


アイシュレイズ「陛下!?」


ミリルはこの宿に泊まる勇気が無くなってしまったこととこれ以上自分の仲間が迷惑をかけたら本当にダメだと判断し、アイシュレイズの手首を掴んで慌てて宿を出たのだ


メイゼル「……フラル、アイル」


メイゼルが名前を呼んで手を2回叩くとスッといきなりスーツを着た男女のメイゼルの隣に現れた


フラル「伯爵様お呼びですか?」


アイル「………」


メイゼルが緑色の魔導具を割ると、3人の周りに空気の壁が作られまるでドームのように外と隔離されたのだ


メイゼル「お前達も先程の様子を見ていただろう、あの金髪の女…地下の秘密に気づいている可能性がある。白髪の女も念の為共に始末するのだ。可能性は限りなく絶やさなければならない」


メイゼル・ライダーが所有するこの宿の地下に一体何が隠されているのか

アイシュレイズは違和感を察知していたようだったがミリルは何も気づかずにいた

二人の身にこれから何が起こるのだろうか























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