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皇帝神の戦いは永遠に  作者: Amenbo
第1章 絶氷の章
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第15話 物語

暗い空間の中に1つの玉座があった

そこに座るのはまさに全身黒色で包まれたかのように見える女神 ベーゼだった


エンディ「ベーゼ様、本当に今のうちではないのですか…皇帝神を殺すには弱ってる時が…」


ベーゼ「…殺すという行動に相応しい時と相応しくない時がある、まだ何も動く必要は無い」


マジカル「うぅ…ベーゼ様の言う通りにしようよぉ…エンディはちゃんと仕事してよね…」


エンディ「分かってるわよ!…でもあんな国さっさと滅ぼしてしまいたいわ!皇帝神が大事にしてる国なら尚更…」


ルアー「ふんっ、滅ぼしたいなら神界でも滅ぼして来なよ。今なら皇帝神の目が…」


ダイデッド「忘れたのか、神界には世界神セーラが居るのだぞ。俺達の生命情報が少しでも神界に入ったら殺されるのが見える」


ベーゼ「セーラ・スフィーガーデンだけは手を出すな、あの女神は…皇帝神よりも厄介よ」


レフェリー「確かに世界の生命管理も出来るセーラだし…皇帝神に敵意あるとバレたら一瞬で消されるわ。なんて恐ろしい神権なのかしら…」


エバフォルト「だからセーラにバレないように神遺聖に口止めしている、皇帝神がやられたという情報は神遺聖にしか分からないはずだから大丈夫だと思いたいが」


ベーゼ「必ず成し遂げなければならない、全員気を抜かずに己の役目を果たすこと。力が足りなければ私が分ける」


エンディ「ベーゼ様、私が面白いお話を提供しますわ!」


エンディがベーゼの右手に両手を置いて信頼するような眼差しで見つめると、ベーゼがエンディの頭を優しく撫でた


ベーゼ「…最高のお話、期待しているわ」


ーグレイス フロイゼン城上ー

エンディ「さて…ベーゼ様に元気もらったしシナリオの確認でも入ろうかしら、可哀想な女王様はついに民に制裁を下すことに決めました。決められた時刻は3時間後…さぁ、皇帝神。貴方はどう対処するのかしら。神の力がない人間の体のままで権主に勝てるかな」


カルミア「……エンディ様」


城のテラスに現れたカルミアがエンディの方を見つめて名前を呼ぶとエンディがテラスの方へ降りていった


エンディ「あら、カルミア。進捗はどう?」


カルミア「リディアの洗脳も進んでいます、案の定リディアはとても操りやすいです」


エンディ「そう、お疲れ様ね。そのままリディアを暴れさせなさい、民の命とかは問わないわ。フロイゼンが滅亡した国と言われるほど滅茶苦茶に!」


カルミア「かしこまりました」


エンディ「…それとミリルという女とアイシュレイズに気をつけなさい。アレを敵に回すということは失敗の大きな始まりだから、まぁでも失敗しそうになったら助けてあげる」


カルミア「彼女はまだ普通の人間のように思えます、支障をきたす種は早々に消すべきかと」


エンディ「私もそうしたいところなんだけどベーゼ様がお許しにならないから…ミリルを殺す特権みたいな感じなのかしら…」


カルミア「なるほど…」


カルミアがそう言うとエンディはカルミアの額に人差し指で軽く押し付け、目の前に見えるのはエンディの紫と赤が混ざった禍々しいと本能的に感じさせるように深かった神の瞳であった


エンディ「第1幕。女王は民に怒りを覚え、処刑を始める」


カルミア「リディアの精神にエンディ様から頂いた殺意を混ぜました、きっとフロイゼンの大半はリディアの手によって殺されてしまうでしょう」


エンディ「貴方のデザートはその後よね」


カルミア「…権主の力を手に入れる、それが私の願いです」


エンディ「民の信仰心をどん底に落として処刑されることで権主の力は別の者へと移る…それは血縁関係のある者にしか効果は無い…なんとまぁ醜い身内話」


カルミア「リディアは権主に向いていない……私の方が似合っているでしょう」


エンディ「やっぱり貴方はおかしな人間!面白いわ」


神と人間がそう話している間に断域ではミリルはアイシュレイズに持ち上げられ、静かに断域を抜けた


アイシュレイズ「陛下…今治しますから…簡易的な回復ぐらいなら…」


アイシュレイズがミリルを下ろすと、ミリルはまるで死体のように体に力が入っておらず目から乾きそうなほど微量な涙が零れていた。赤い血で染まってしまった服と髪の毛が白をベースとしているミリルの容姿には目立つものとなった


アイシュレイズが自身の神力をミリルに流すとミリルは拒絶反応を起こすかのように苦しそうな声で悲鳴を上げ始めた

まるで心臓が潰され、腕が引きちぎられ顔の皮膚も剥がれてしまいそうなほどの激痛が一気に走ったのだ


ミリル「あ゛ぁぁぁあッ!やめてぇぇぇッ!いだいいいい!」


アイシュレイズ「陛下!?」


アイシュレイズ(どうしてっ…私の力は陛下の神力をベースにして作られたはず…拒絶反応を起こすわけ…)


?「大丈夫?…」


慌てるミリルとアイシュレイズを心配してるかのように駆け寄ってきたフードの少女はフードを深く被らないといけないのか布を手で抑えながら話し始めた


アイシュレイズ「…どなたですか」


?「………私はディアナ。通りすがりの者よ、この子すごい傷だらけだけど良かったら回復薬を使って」


ミリル「……貴方は…この前会ったフードの人…」


ミリルがうっすらと目を開けるとあの温泉の時に出会ったフードの人だとすぐに気づいた。しかしフードを深く被っていて顔が良く見えない


ディアナ「あら、そういえば白髪の人はあなたぐらいしかこの国に居ないわね……あの時はありがとう」


ミリル「いえ…ただ…」


ディアナ「これを飲んで、ゆっくりと」


ディアナは回復薬の瓶の蓋をあけるとアイシュレイズに渡し、アイシュレイズは警戒するかのように瓶を受け取った


アイシュレイズ「…毒入りではありませんよね」


ディアナ「なら貴方が飲んでみたらいいわ」


アイシュレイズはそう言われると軽く縁についた薬液をペロッと舐めると確かに毒が入ってない回復薬だと気づいた

アイシュレイズは頭を下げて「ありがとうございます」と言うとミリルの口に回復薬を少しすつ流し始めた


ミリルは段々と落ち着いた顔に戻っていき、「死ぬかと思った…」と呟いた


ディアナ「…青いお姉さんの力が恐らく過剰回復に匹敵するほどのものだったからでしょうね、無理な回復は体を苦しめてしまうから…」


アイシュレイズ(神にとっては火傷治す程度の回復が人間にとっては過剰回復なのですね…)


アイシュレイズ「ご指摘ありがとうございます、陛下…大変な思いをさせてしまい申し訳ございません…」


ミリル「いいよ大丈夫。こうなることも想定してたしね…そういえばディアナさんはもしかしてリディア様の招集に向かっている感じですか?」


ディアナ「……ええ、リディア様の招集なら行かないといけないから…」


アイシュレイズ「………」


ミリル"どうしたの?アイシュレイズ…"


アイシュレイズ"それが…ディアナ様から人間の生命の気配を感じないのです、お顔も見えないので多少警戒はした方が良いかと…まるで体が謎の力で構成されているかのような"


ディアナ「2人も早く行った方がいいわよ、遅刻したら何が起きるか分からないから」


ミリル「そうですね…あと時間はどのぐらい…」


ディアナ「…あと15分」


アイシュレイズ「急ぎましょう、ここから目的地まで走って丁度ぐらいです」


3人は走ってフロイゼン城の真下に着くとそこには何十万人という人々が集まっていた

押しつぶされそうな人混みの中で少し上を見上げると城のベランダに立っているリディアとカルミアの姿が見えた


ミリル「………リディア様…」


アイシュレイズは直ぐに何かあれば剣を使えるように鞘から剣を少しだけ出した状態で立ち、ディアナはただ眺めるかのようにリディアを見ていた


リディア「…予定時刻になったわね…」


リディアは魔導具を服のところに挟み、前に1歩踏み出して国民達を見下ろした

フロイゼンの人口は約65万人であり、グレイスの街がほぼ埋め尽くされるほどだった


リディア「フロイゼンの民よ!私はリディア・フロイゼン…フロイゼンの権主である!」


国民A「リディア様だ…本物の…」


国民B「ようやくお目にかかれた…リディア様…」


周りの国民達が懐かしむような顔でリディアを見つめ、国民達がリディアを尊敬しているのだと分かるかのように誰1人リディアを否定するような者はいなかった


リディア「…私の父…先代権主カルド・フロイゼンは2年前に何者かによって暗殺されてしまった。私はずっと犯人を探していた…そしてようやく見つけることが出来たわ!それはエスパーダ公爵家先代当主夫妻…現騎士団長 デヴィア・エスパーダの両親よ」


国民C「公爵様がそんな…あのお方達はとても優しかったのに…」


国民D「カルド様を狙う理由とかあったのかしら…」


周りがざわつき始め、カルミアは魔導具を使って空間に大きな映像をグレイスのあらゆる所に映し始めた

その映像では先代エスパーダ公爵夫妻がカルドを炎魔法で燃やしている姿が映し出されていたのだ

この映像を見せられた国民は受け入れざるを得なかった

魔導具の偽装は難しい、これは常識なのである


ユスタル「ミリルさん!」


ミリル「ユスタルさん!?」


ユスタル「凄い人の量ですね…今何が起きてるんですか」


人混みの中から現れたユスタルは空中にある映像を見ると心当たりがあるかのような顔をしていた


ミリル「…ユスタルさん、そういえば魔導具の点検任されたりとかしました…?」


ユスタル「リディア様から頼まれて…映像は見るなと言われてたので知らなかったのですがまさかこの内容だなんて…」


映像を見ずに異常の有無を確認できるユスタルの技量はある意味凄いなと感心しながら、ユスタルが来たということは最悪の事態に備えて戦える人材が増えたということに気づいた


リディア「先代権主を殺害した罪はとてつもなく重い!家門の罪は家門が背負うべきであることから本日デヴィア・エスパーダの火あぶりの刑を決行する」


ユスタル「何言っているんだリディア様は…団長は何も悪くないじゃないですか…」


国民達もデヴィアが普段からどれほど国民に貢献してくれているか知っている為、デヴィアの火あぶりの刑に反対意見を持つ者達が多かった


国民E「リディア様!それは酷いんじゃないのか!騎士団長様がどれほどフロイゼンに貢献しているのか引きこもりすぎて分からないからこんな判断するんだろう!」


国民の1人がそう反発すると他の国民達も同調するかのように「そうだそうだ!」と言い始めた

その光景を見るか否やリディアは権主の氷の力で国民に対して大量創成した氷の塊を勢いよく飛ばし始めた


ディアナ「ダメよ!そんなことに使っては!」


ディアナは人混みの中から飛び出て氷の塊を吸収するかのように国民達を守り始めた


アイシュレイズ(…出るまでも無いですね…)


リディア「貴方は誰かしら?私の決定に反対するものは反逆者と見なす、貴方を先に氷で殺す」


ディアナ「権主の力は誰かを殺すためにあるのでは無いのよ!こんなことに使わないで!」


ミリル「ディアナさん………」


リディア「………ムカつく…誰も私に指図するな…お父様の死の理由を誰も知ろうとしなかった貴様ら全員許さない!」


リディアが両手から右手でディアナに対応するようにし、左手で天高い空から当たれば脳にダメージが食らうほどの大きな塊の粒を雨のように降らせ始めた


ユスタル「させません!」


ユスタルが魔法の力でリディアの体を拘束し始め、権主の力が少しずつ弱まっていった

リディアは無理やりにでも拘束を解除しようとしたが大魔法師の魔法は簡単には破れない


リディア「この魔法…ユスタルね…カルミア!ユスタルをここに連れてきなさい!」


カルミア「分かったわ」


カルミアはユスタルの方を見ると、ユスタルは最初警戒している顔になったが段々と警戒が緩んでいき何かを盲信しているような顔になり風魔法でベランダまで行こうとしていた


アイシュレイズ「行かせませんよ」


アイシュレイズは左手でユスタルの右足を掴み、ユスタルは魔法でアイシュレイズの左手を切り落とそうとしていた


ユスタル「離してください、僕は行かなければなりません」


ミリル(カルミアさん何か洗脳系みたいなの使ってる…?)


ミリル「ユスタルさん!ズボンのチャック空いてますよ!」


ユスタル「えっ!?」


ユスタルはいきなり自我を取り戻してズボンを確認し始め、アイシュレイズはどんな止め方なのだと少し引いていたが全ては結果が大事なのである


ミリル「あぁ良かった…ズボンのチャックは嘘ですよ!」


カルミア「……まだ使い慣れていないわね…」


リディア「ユスタル!ここに来なさい!これは権主命令よ!」


ユスタル「……お言葉ですが、権主様が国民に危害を加えるだなんて冗談では済みません!国民を守るべき存在であるのに攻撃するだなんて……先代権主様はそんなことをするお方ではありませんでした!」


ユスタルがそう言うと周りの国民もユスタルの意見に賛成し、「ふざけるな!」「俺たちの命をなんだと思ってる!」「本当にあのお優しいリディア様なの!?」と文句苦情を言う声が多数上がり始めた


リディア「カルミア早くして!もうユスタルも極刑に処すわ!デヴィア・エスパーダもここに連れてくるのよ!私の手で直々に殺してやるんだから!!絶対に!」


ディアナ(ダメ…これ以上抑えられない…)


ディアナは力尽きたかのように倒れ、アイシュレイズが受けとめた

アイシュレイズが「気を確かに!」と言ってもディアナは起きる気配がなかった

それと同時にリディアの力が急激に増大し、ユスタルの拘束も簡単に破られてしまった


カルミア「っ……」


リディア「もう権主とかどうでもいい…全員殺してやる……」


リディアはベランダから飛び降りて地面に着地すると氷の剣を出して国民を攻撃しようとした


リヴィット「そこまでだリディア・フロイゼン!」


大勢の騎士を引き連れてきたのはリヴィットとデヴィアであり、また反対方向からは魔導具を持って現れたリエガがいた


リエガ「これは権主様であろうと見過ごすことは出来ません、フロイゼンの公爵家一同はリディア様を拘束させて頂きます」


デヴィア「…私を殺すのはお好きにしてください…しかし無実の民を傷つける行為だけはおやめ下さい!」


リヴィット「全員グレイスから避難しろ!騎士達の誘導に従え!」


リヴィットが引き連れてきた騎士の1部は国民達を次々にグレイスの外へ走っていくように誘導し始めた


リディア「小癪な…グレイスも氷の壁で…」


アイシュレイズ「陛下、リディア・フロイゼンを…仕留めますか」


ミリル「…仕留めないで、私がリディア様を止める」


アイシュレイズ「陛下が成長したとは言えまだあの者に勝てる勝算は…!」


ミリル「アイシュレイズだと国崩壊させそうだし…私一人じゃないから…」


ユスタル「僕から見ればミリルさんも逃げた方が…」


ミリル「足でまといにならないようには動くつもり、私を信じられない?」


ミリルの声がまるで天からの命令だと感じたユスタルは多少不安がありながらもミリルを信じてみようと思った


ユスタル「…分かりました、きつくなってきたら早めに離脱してくださいね」


ミリル「わかった」


アイシュレイズ「…陛下が離脱したら私が戦いますから…ディアナ様を騎士に引き渡してきます!」


ミリル「お願い!」


リディア「…はぁ…まぁいいわ…貴方達全員邪魔だし…カルミア、貴方にとって厄介なのは誰かしら」


カルミア「大魔法師ユスタルと騎士団長デヴィアとリヴィットね。それ以外は私が対応するわ」


リディア「分かったわ」


カルミアもベランダから飛び降り、カルミアはミリルとリエガ。リディアはユスタルとデヴィアとリヴィットを相手にする形になった

カルミアは大魔法師程では無いがフロイゼンで5本指に入るほどの実力者であり、攻撃魔法特化型の宮廷魔法師である




























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