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皇帝神の戦いは永遠に  作者: Amenbo
第1章 絶氷の章
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第13話 疑惑に満ちたお話の始まり

空に現れた青色の刺繍が施されている白い軍隊服を着たミリルと同い年ぐらいの少女はフロイゼンの権主 リディア・フロイゼンである

壁に異常なエネルギー反応を感じ慌てて城から飛び出してきたが、デヴィアの知るリディアとは違う様子であった


デヴィア「…リディア様…お久しぶりです」


リディア「………デヴィア…そうね、久しぶり。バグテリアス襲来以来かしら」


デヴィア「はい、ずっとリディア様のお姿を見たいと思っていました」


あの自由に生きるをモットーに掲げてそうなデヴィアが敬語を使って頭を下げている様子を見ると、ミリルもリディアが偉い立場であることを痛感した


リディア「……そこの貴方は誰かしら、顔がそっくりね。双子?」


ミリル「っ!初めまして!ミリルと申します!この子は私の仲間のアイシュレイズと言います!」


リディア「…ミリル…アイシュレイズ……へぇ…フロイゼン出身ではなさそうね」


ミリル「はい…」


アイシュレイズ「お話の途中失礼しますが…何故貴方は私たちに対して殺意を出しているのか…………聞いてもよろしいですか」


アイシュレイズはミリルを守るかのように自分自身の後ろへ守るように誘導すると、リディアがクスクスと笑い始めた


アイシュレイズ「…何がおかしいのです」


リディア「なるべく隠してたつもりなんだけど…貴方は敏感なのねアイシュレイズ。貴方達はフロイゼンの民では無いから怒りとかは無いけど…私の壁を壊そうとしたアイシュレイズ…貴方は許さないわ」


アイシュレイズ「貴方に許されようと許されなかろうと関係ありません……それよりもこのような壁なぜ創る必要があるのです、自国をこのように封鎖してメリットが生まれるとは到底思えません」


アイシュレイズは腕を組んで愚か者を見るような目でリディアを見ていた

ミリルはアイシュレイズのコートを握ってひょいひょいと引っ張って止めようとしていたが、すでに遅かった


ミリル「ちょっとアイシュレイズ…あまりそういうの言わない方が…」


リディア「…貴方には分からないでしょうね……私の気持ちなんか!」


デヴィア(リディア様…やはり何か問題が…)


デヴィア「リディア様、何か不満などがあれば私に伝えてください…騎士団長として対処致します」


リディア「不満…?大ありだよ!みんなして私を馬鹿にしてるんでしょ!私は悪くないから!」


デヴィア「リディア様…一体何を…」


リディア「デヴィアは私の大切な先輩…ずっと信じてたのに裏切るなんて酷い…みんな酷い…私頑張ってるのに……お父様を殺したのはみんななんでしょ!みんなが私の家族を殺したんでしょう!」


ミリル(待って…リディア様のお父さんが殺された…?…)


デヴィア「そんなはずがございません!カルド様を殺したいなんて思うフロイゼンの民などいるはずが!」


リディア「私もそう思ってたよ最初は…だけど証拠があったの…お父様は炎には弱いという弱点を利用されて見つかった頃には丸焦げになってたのよ………あれほど焦げる強さを出すには炎魔法が不可欠だし…この国で強い炎魔法を使えるのは…デヴィアの家系ぐらいかユスタルよ…ユスタルはその時はまだ別の国にいたしアリバイがあるから犯人じゃないのはわかる…だけど貴方達にはアリバイが無いのよ!」


ミリル「………」


ミリル(色々気になる部分はあるけど…これは私が口出ししていい内容じゃないよね…)


アイシュレイズ(偏見にはなりますがデヴィア様自身も心当たりは無いようですし…他に黒幕とか居そうな雰囲気ですが…こういう事件系はトレイアが専門ですから私には不向きですね、正直この国がどうなろうと興味無い…陛下が無事であれば私はそれでいいのです。もしあの者が陛下に手を挙げたりしたらその時は私が…)


デヴィア(リディア様は何か誤解しているようだ…何とかして解かなければ…)


リディア「あなた達の容疑が晴れるまでは誰もフロイゼンを出ることは許さないから!」


デヴィア「リディア様…その証拠というものを私に見させてください!…父と母がそのような事をするはずがございません!」


ミリル(完全には疑っては無い感じだけど証拠があるから気持ちが半分半分なのかな…先輩とか言ってたし仲良かったんだろうね…)


リディア「……それなら城に来て」


リディアは全員を氷の中に閉じ込め、権主の力で城の中へと転移した


ミリル(何故か私も連れてこられた…)


カルミア「おかえり、リディア」


デヴィア「っ…!カルミア様!」


カルミア「………デヴィア騎士団長ですね、何故城の中に」


転移した先はどこかの部屋であり、近くの椅子で読書をしていた赤と紫が混ざったような髪を持ちリディアと同い年ぐらいなのに妖艶さを感じさせる容貌を持つカルミアがいた


リディア「私が許可したの、カルミア。貴方が見せてくれた証拠を見せてあげて」


カルミア「………分かった」


カルミアは水晶のような魔導具を取り出して、魔力を入れる動作をすると空中に映像が映し出された


アイシュレイズ「…………」


デヴィア「そんなっ…父上…母上…」


カルミア「騎士団長は分かるけどこの部外者達は?」


リディア「……どうせ後に国民全員に見せる予定だし先行上映みたいな感じよ」


カルミア「…そう………騎士団長の家系、エスパーダ家夫妻が炎魔法で燃やしてる所が映し出されていた…これはカルド様の使われていた部屋で見つかったものです」


リディア「お父様はこういう時があろうと用意してたのかしら………お父様…」


ミリル「……リディア様、発言の許可を頂いても宜しいでしょうか」


リディア「…許すわ、何かあるのかしら」


カルミア「……」


ミリル「その魔導具…映像が捏造された物ではありませんよね…」


アイシュレイズ(流石陛下、魔導具など捏造し放題なガラクタ…簡単に信じてしまうのは愚か…)


カルミア「これは権主様直々使う魔導具の中でも質のいいものです。質のいいものがそう簡単に捏造されるとは思いませんが」


ミリル「…可能性は0じゃないですよね、間違った情報を国民に広めてしまうこともリスクの1つとしてあるのでは無いでしょうか。もし捏造された映像であった場合、リディア様が罪に問われることもあるでしょう」


デヴィア(…この映像は嘘だと信じたい…私の両親はとても優しくて強い人だ…カルド様を焼き殺すなんてこと絶対にしないはずだ…無実を証明しなければ…!)


ミリル「…そういえば魔導具に詳しい(はずの)大魔法師がこの国には居ましたね…その方にこの魔導具を点検してもらいましょう、そうすれば捏造かどうか判明するのではないでしょうか」


リディア「…ユスタルね!確かに彼に聞けば分かるわ…!なんで分からなかったのかしら!貴方天才ね!」


リディアがそう言うと赤色に近かった宝石の瞳が青色に戻っていくのが見えた


カルミア「重要な証拠品を渡してもし証拠隠滅が狙いだとしたらどうするの!この者が信頼における者だと分からないのに簡単に決めつけないで!」


リディア「…でもユスタルはそのような事をする人ではないわ…この子に渡すのじゃなくてユスタルに直接渡せば…彼は信用出来るの」


カルミア「…貴方は幼馴染の言う事なんでどうでもいいのね…」


リディア「そういうつもりじゃ…!」


アイシュレイズ「割り込み失礼します。それ程心配ならばユスタル様という大魔法師の点検してる様子を一部始終見れば良いのではないでしょうか。不自然な行動が分からないのであれば信頼に足る魔導具師を連れてきたり………話を聞いている限りカルミア様からは魔導具を他の人に見せたくないという意志を感じられます」


カルミア「………魔導具は貴重な物、まして権主御用達の魔導具を簡単に他人に取り扱えるわけが…」


アイシュレイズ「発言に矛盾の要素がありますね、カルミア様は権主でもないのに何故魔導具を勝手に持っていたりしているのでしょう。リディア様が許可していると仮定した場合でも貴方は他人です。幼馴染という関係があったとしても他人…ですがカルミア様は幼馴染は他人ではないと言うのでしょうか。権主と幼馴染は血縁関係がない限り他人です。血は繋がっているか魂が繋がっていたりするのですか」


リディア「…カルミア…」


カルミア「随分と流暢に喋る口ね…」


ミリル(確かにカルミア様は権主様ではない…恐らく宝石みたいな目が権主の証なんだろう……幼馴染という立場だけでここまで権主の問題に関われるのかな…)


デヴィア(カルミア様は戦前はリディア様と半年に1回ほどお茶会をするぐらいで…凄い仲良い訳ではなかったはず…それなのにリディア様は何故カルミア様にここまで信頼を置いているのだ…幼馴染の域を超えている国権問題に近いのに)


リディア「カルミアは唯一私のそばにいて2年間支えてくれたの、彼女を悪く言うことは私が許さないわ」


アイシュレイズ「悪く言ったりはしていません、気になることを伝えた迄です。友情とかで何とかなる問題ではありません、賢明な判断をお願いします」


リディア「っ………黙って!カルミアを困らせるのなら貴方を牢屋に入れてあげるわ!」


アイシュレイズ「なんという幼稚な……」


アイシュレイズは呆れたかのような顔をしてミリルやデヴィアも今のリディアの発言には少々私情が入りすぎてはないのかという風に感じていた


カルミア「リディア、このままでは埒が明かないわ。このまま帰ってもらいましょう」


リディア「そうね、カルミア。次は外で会いましょう」


リディアは権主の力で3人を城の外へ転移させた

デヴィアは今までの陽気さを失った暗い顔で地面を見ていた


アイシュレイズ「まだあの映像が本物と認められた訳ではありません。無実にも必ず証拠があります、証明したいのなら探しましょう」


ミリル「そうですよデヴィアさん…!」


ミリル(両親と言えばリヴィットさん達の話を聞いとけば良かったかな…)


デヴィア「しかし何年も前の証拠など今更あるのだろうか…あの魔導具以外で城の外にありそうなのは…」


エンディ「ざんねーん、ありませーん…ってアイシュレイズ様そんな怖い顔でこっち見ないでくださいよ」


アイシュレイズ「貴様何故ここにいる、陛下に近づくな」


アイシュレイズはいきなり現れたエンディの首に剣がぶつかる数mmの所まで向けていた

エンディはその状況だとしても平然な顔でニヤリと笑っていた


ミリル「貴方この前の…!」


デヴィア「誰だ!」


アイシュレイズ「…神界で指名手配されていた殲滅神エンディ……陛下が処罰されたはずなのに何故生きている!」


エンディ「……確かに私は皇帝神様に殺られた。だけど私にチャンスを与えてくれた神がいるの」


アイシュレイズ「まさかベーゼという神では無いでしょう」


エンディ「正解」


アイシュレイズ「やはりベーゼの手下か!今すぐ貴様をここで全て斬り飛ばす!!」


エンディ「いいの〜?アイシュレイズ様が全力で私に取り掛かったらこの国壊れちゃうよ?無実な民達の多くの命がアイシュレイズ様のせいで奪われちゃう。そんなの、許されていいと思ってる?」


アイシュレイズ「っ………」


ミリル「アイシュレイズ、落ち着いて……エンディさん、次会った時この国がどうこうみたいなの言ってましたよね」


エンディ「あぁ…それなんだけどやっぱりまだ早すぎかなぁって思ったの。皇帝神、貴方はこの国規模での話をどう切り抜ける?」


ミリル「話?」


エンディ「この話は愛を失った者と愛を渇望する者のお話。このまま貴方が何もせずに話を進ませるとこの国は破滅エンド!!いわばこれも殲滅の神能よね!」


アイシュレイズ「…滅裂!」


アイシュレイズがエンディに斬り掛かるとエンディは足でアイシュレイズの斬撃を受け止めていた

ただの神が剣の神遺聖の攻撃を防げるとは到底思えない


エンディ「随分と火力が落ちたんじゃないの?アイシュレイズ様」


アイシュレイズ(私の斬撃が防がれるなんて…いつの間に強く…オリジナルでない限り私は中途半端なのか…)


アイシュレイズ「お遊びならここまでにしなさい、ベーゼの目的は一体何か…今すぐ吐きなさい」


エンディ「…敵になること…かしら。今はそれだけしか言えない」


エンディはそういい、ニヤけた顔で首を傾げるとアイシュレイズはまた喧嘩を買ってしまったような顔になり剣を力強く握りしめる音が聞こえてきた


デヴィア「アイシュレイズ…下手に相手を怒らせたりしたら…」


アイシュレイズ「…すみません、取り乱しました。エンディ、これだけは覚えておいてください。貴方はこの世界で一番最初に無になると」


エンディ「それは面白いわ…この話が無事ハッピーエンドを迎えるかそれともバッドエンドを迎えるか…その鍵を持ってるのは権主以外…つまりアンタ達も入っているの。私は読者として…敵役として楽しむことにするわ、それがベーゼ様からの命令の1つだからね」


エンディはそう言うとまた前と同じように手を振りながら消えていった

神とはなんという気分屋なのだろうか


ミリル(一体何をしたいんだろう…エンディが物語の敵だとするとリディア様に何かしたってことになるのかな…バッドエンドを迎えないためにも慎重に行動しないといけないというわけだね…)


アイシュレイズは納得いってないような顔で眉間に皺を寄せていた為、ミリルがアイシュレイズの頭をそっと撫でて落ち着かせようとした


ミリル「そう怒らないで、物語をバッドエンドに迎えない為にも冷静に判断しないとだよ」


アイシュレイズ「…陛下…」


デヴィア「一旦話の整理をしよう、まず少じょ…ミリルとアイシュレイズはあのエンディという女神と知り合いである。そして私たち国民の動きでリディア様が迎える結末が変わり、それがハッピーエンドかバッドエンドのどちらかになる。要はリディア様のお怒りを沈める必要がハッピーエンドに繋がるというわけか…両親のことも調べたい所だがそれまでにリディア様がバッドエンドに繋がる行動を起こさなければ良いのだが……一旦公爵家全会議を執り行う。国の存亡に関わる可能性があるから話が長くなるだろうし…ミリルとアイシュレイズは結果が出る迄は待っていてくれないか」


ミリル「ありがとうございますデヴィアさん…私の知り合い(?)のせいで迷惑をかけてしまって…」


デヴィア「国家問題に関わるほどになってしまったから仕方ないだろう、騎士達にも警備の増強を伝えとかなければな。弟…副団長にしばらく団長の役目を引き渡すから何かあれば副団長に伝えてくれ」


ミリル「分かりました」


デヴィアはそう言うと魔導具を出して「公爵家当主全員に告ぐ!今すぐ大会議室に集合するのだ!」と声を出してそのまま何処かに走り去ってしまった


ミリル「…公爵家ということはリヴィットさんも呼ばれてるよね……とりあえず私達に出来ることを今しよう!」


アイシュレイズ「かしこまりました、エンディは戦闘特化の女神です。1発でも本気の拳を食らったら辺り一面焼け野原…いえ地盤が割れてクレーターぐらいは出来るかもしれませんね…ここは神力濃度がかなり薄いので力はそこまで出せないはずです」


ミリル「そうなの?」


アイシュレイズ「はい。普通の神は自身で作れる神力で3割と大気に存在する神力で7割なので大体が自然から吸収したものなのです。陛下は神力を無限に再生できる神権をお持ちなので絶大的な力をお使いになれるのですよ。しかし今はその神権も封印されてるようなので…」


ミリル「本当不便なんだなぁ…私の身体…」


ミリル(私にかけられた封印の解除をすれば簡単に解決出来るのかな…)


アイシュレイズ(私の力不足で陛下がお困りに……正直今の陛下をエンディと戦わせたら100%負けることは確実。せめて陛下が神に戻れば…何をすれば解放できる…私の全ての神力を陛下の体に入れるか…でもそうしたら私が消えてしまう…私無しで陛下をおひとりにするわけには…せめてもうひとり居てくれたら…私の身など陛下にすぐお渡し出来るのに…)





























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