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皇帝神の戦いは永遠に  作者: Amenbo
第1章 絶氷の章
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第1話 全ての頂点、尊き皇帝神

どの世界にも神が一番高い種族ということは常識となっている

これは事実である、他の種族自らの知能では認知出来ない神の住まう世界【神界】

数え切れないほどの神や女神達が世界の均衡のために自らに与えられた権能を利用して生活している

権能とは神の能力のようなものであり、各々1つずつ生まれた時から持っている

神界が誕生したばかりで誰が最強の神なのかを争っていた波乱時代にある女神が降臨した

神界は最も高い場所にあると言われているがさらに上…神空と命名される所から降り立ってきた白髪で銀眼の肌が白く容姿だけで威圧を感じられる女神がーー

その女神が降り立った瞬間全ての神が本能で感じた

彼女こそが我らの王だと

神達はすぐに彼女が住むための住居を作り上げ、彼女を皇帝神として称えた


貴方のお名前を教えてください!!


?「……私はミリル・セレントヴァイン」


彼女がそう言うと同時に神界に歓喜の声が響いた

神界は強い者ほど敬われる世界、全能に近い権能を持つミリルには有利な環境であった


ミリルが皇帝神として神界を統治し始めてから波乱時代が終わり、平和な日々が続いていた

反乱分子は速やかに排除し、部下達を育成しミリルほどにはなれなかったが数秒は戦い合えるほどには成長していた

『皇帝神様のことをどう思ってますか?』

誰に聞いても99%の神がこのようなことを言うだろう


『皇帝神様は最強で無敵である』

『皇帝神様が居れば安心ね!』

『皇帝神様は私情を挟まないお方だ!』

『一生ついて行きたいお方だよ』


誰もが皇帝神を完璧像として見ていた

ちゃんと見ていた


上手く出来ていたようだった


ミリル「……神遺聖(アウルムギア)達よ、集いなさい」


静寂に包まれた真っ白い部屋に立っていたミリルの落ち着いた声で呼ばれたのは全員金髪でそれぞれをイメージした色の衣服を着ているミリルに顔立ちがそっくりな六神であった


六神「はい、神遺聖全員集まりました」


ミリル「全員任務は終わらせたはず、報告を聞く。最初はアイシュレイズから」


ミリルがアイシュレイズという名を口にし命令すると反応したのは神遺聖の真ん中にいた青色のジャケットを着たハーフアップの女性だった


アイシュレイズ「はい、第Ⅱ地区の不正者37564名は既に処理済みでございます」


ミリル「お疲れ様、管理者への処罰も貴方に任せるわ。私の代理として頼むわよ」


アイシュレイズ「はい」


ミリル「トレイア、神界保持エネルギーの点検結果を聞くわ」


ミリルがトレイアと呼ぶとツインテールに結んだ陽気な顔でニコッと微笑んだ


トレイア「はぁーい、今まで通り問題無しだよ〜。気になる点があるとするならちょっと余分だから他の世界におすそ分けした方がいいかも〜。それよりもヴァーミリオンの任務の方が心配だよね〜、殲滅部隊の訓練なんて務まるのかなぁ?」


自然の象徴と言える緑色の眼は輝き、相手を不思議な感覚へと陥れるようであった


ヴァーミリオン「うっせえよトレイア!あたしが遂行出来ないわけないだろ!主様!あたしはちゃんとアイツらを目標レベルまで育てたぜ!」


金髪の髪の毛が肩につかないショートヘアをした血のような赤い眼を持つヴァーミリオンは自信満々にそう言い、ミリルに褒められることを待っていた


ミリル「そう、各々の戦闘傾向をまとめて後で提出するように」


ヴァーミリオン「りょーかーい…」


ヴァーミリオンが面倒くさそうな顔しながら渋々了解すると髪の毛に小さい白い玉のピンを少量つけているレアフィルゼが口を挟んだ


レアフィルゼ「そんな態度をミリル様に見せてはなりませんよヴァーミリオン」


神遺聖の中で1番常識を持っている橙色の目を持ち、三つ編みをしているレアフィルゼが溜息をついた


ミリル「レアフィルゼ、セーラの機嫌はどうだったかしら」


レアフィルゼ「セーラは素直に仕事していました、途中ミリル様に会いたいと放棄しようとしてましたがミリル様の衣装を渡したら大人しくなりました」


ミリル「あの子は私がいないと本当に駄目になってしまうのね、ご苦労さま。後で衣装の発注をしておいて頂戴」


レアフィルゼ「かしこまりました」


ミリル「ンツァレイオンは結界の調整を頼んでいたわね、前日との差を教えなさい」


ミリルが顔を向けた先にはストレートヘアの頭に紫色の花を飾っている杖をずっと握ったままのンツァレイオンという名の者であった


ンツァレイオン「はい、誤差率は0.04%です。多少神力を注いで調整致しましたので崩壊率は約0%になりました」


ミリル「ご苦労さま、来週辺りに結界の強化をしとこうと思うから来週は私が行うわ」


ンツァレイオン「はい、女王様の書類仕事を担当致します」


ミリル「任せたわ、最後にイリアナ」


1番右端にいたのは他の神遺聖よりも背が低くまるで子供のような姿をした桃色の目をしたハーフツインの少女であった


イリアナ「姫様…」


イリアナが持っているのはミリルの姿をした人形であり、肌身離さずにしているようだった


ミリル「そろそろ結界担当を貴方に任せたいのだけど、まだ習得出来なさそうかしら」


イリアナ「ご、ごめんなさいっ姫様…イリィ頑張ってるんだけど…上手くいかなくて…」


ミリル「……永遠に待つことは出来ない、少なくとも来週までには習得出来るようにしなさい。そうでもしないとンツァレイオンがずっと結界担当になってしまうわ」


イリアナ「うぅ…ごめんねンツァレイオンお姉ちゃん…」


ンツァレイオン「大丈夫、貴方のペースで頑張ればいいの。無理しないことが1番よ、女王様も怒ってないし神それぞれに自分のやり方があるものだから」


イリアナ「うん…」


イリアナをンツァレイオンが慰めていると部屋の扉がバンッ!と開きそこから目に見えぬ速さでミリルに飛びついてきた物体がいた


セーラ「お姉様ぁぁぁんッ♡」


ミリルに右から飛びついてきたのは神界で2番目に権威がある世界神のセーラ・スフィーガーデンという前髪の一部が腰まで長く後ろ髪は肩よりも高いところで切られている髪型をした七色で構成された瞳を持つ女神であった


ミリル「今報告を受けているの、邪魔をするなら暫く接近禁止令を出すわ」


セーラ「ごめんなさいお姉様〜、お姉様に注文された世界の完成を報告しにまいりましたの!」


セーラの役割は世界の創成、破壊などの管理である

無数の理想の世界を作り上げることが出来、神以下の種族の生命を創造することも可能である

セーラの頭脳は数え切れないほどの世界の情報が詰め込まれていている

その美しい虹色の瞳は世界を象徴するかのようであった


ミリル「……ご苦労さま、報告は受け取ったわ。今日の貴方の業務は終了だから私の業務が終わるまで城下町を散歩でもしていなさい」


セーラ「(わたくし)外に歩くの嫌いですわ」


ヴァーミリオン「おいおいセーラあまり主様を困らせるような発言をすんじゃねえよ」


トレイア「そうだよー!セーラっち!トレイア達の邪魔しないでくれるー?」


セーラ「お姉様にそっくりな顔で言われても無駄ですわよ、でも確かにお姉様を困らせるのは嫌われてしまうきっかけになりますし…仕方ないですわね。お姉様の好物のハニースポンジケーキを買ってきて参りますわ。待っててくださいましお姉様ぁ♡」


セーラはそう言うと世界の狭間に入り、瞬間移動するかのように買いに行ってしまった


イリアナ「…セーラお姉ちゃんって本当に変わってるよね…」


レアフィルゼ「セーラさんはミリル様のみ敬愛してますからね…私達と似たような存在…と言って良いのでしょうか」


神遺聖全員が困惑した顔になっていたがミリルはそんなもの気にするほどではないと言うかのように真顔でいた


ミリル「一先ず解散とする、私は引き続き書類の処理をするから全員本日の業務の後始末を終わらせた状態で各々好きにするといい」


神遺聖達「はい」


ー数時間後ー

ミリル「業務終了…、セーラがまだ来ないのはおかしい…様子を見に行くか…」


ミリルはそう言うと白い光となり、城下町の方へ瞬時に移動した


《神皇城 城下町》

ミリルが現れると街を歩く神達はミリルの存在に気づき声を上げた


神A「おい!あの方って!」


女神A「ミリル様よ!!城下町でお買い物なのかしら…!」


女神B「ミリル様写真撮ってもいいですか!」


神B「ミリル様今度一緒にお食事でも…!」


ミリルの周りに約150の神達が囲み始めたが、ミリルが何も言わずに前へ進もうとすると神達が高ぶる興奮を抑え恐る恐る道の端へと寄った


女神C(ミリル様の邪魔をしたら罰が下されてしまう…怒ってないようで良かった…)


ミリル「………いつの日か」


ミリルがそう言うと神達は死刑宣告されるかもしれないという恐怖でビクッとし、ミリルの方を見た


ミリル「民達の意見を聞くために謁見の時間を設けようと思っています、その時にお話を聞かせなさい」


ミリルがそう言い前へ進むと神達が歓喜の声を上げて喜ぶ声が聞こえた 彼らにとってミリルに出会えるだけで光栄であり、ミリルと対話出来るということは神生において悔いなしと言える程である


そうして歩くこと15分

後ろに大量の列を作り、先頭でずっと悩んでいるセーラを見つけた


店員「せ、セーラ様…あの…後ろにお客様もずっと待っていらっしゃるので…」


セーラ「もう少しお待ちなさいな!…お姉様って砂糖多めが好きだったかしら…」


ミリル「…何をやっているのかしらセーラ」


セーラ「お姉様のスイーツを買いに来ていますの!邪魔しな…ってお姉様!?」


店員「皇帝神様!?わざわざお足をここまでお運びに…!」


ミリル「これぐらいの距離気にすることないわ、それよりセーラ。後ろに神を待たせておいて迷惑かけるのは辞めなさい」


セーラ「だって…決まらなくて…」


ミリル「別に好き嫌いとか無いわ……貴方達、ここは全て私が会計を持つわ。お詫びとしてだから断るのは命令違反とする」


神C「よろしいのですか!?ミリル様!」


ミリル「空気読めない部下のせいだから上司である私が責任取らないといけないの。皆セーラに意見するのが怖かったのでしょう、時間取らせてしまって申し訳ないわ」


女神D「ミリル様が謝るなんてそんな…!」


ミリル「セーラ謝りなさい、いつも自分の事ばかりしか考えてないのだから反省しなさい」


セーラ「ごめんなさいですわ…皆様方…」


神D「ミリル様のスイーツ選びを簡単に決められないの分かっていますし大丈夫ですよ!」


女神E「そうです!」


ミリル「…とりあえず店員さん、後で神皇城に請求書を送ってきてちょうだい。即日振込しておくわ」


店員「ありがとう…ございます…」


ミリル「帰るわよセーラ」


セーラ「待ってくださいましお姉様!」


1番信頼出来る部下のセーラと神遺聖達と過ごしていく日々は数億年にも及んだ


そして全ては 神歴 37兆564億18782年に事件は起こった


《皇帝神執務室》

アイシュレイズ「失礼します、陛下。お急ぎ確認して欲しいデータが…………陛下?…まだ寝ていらっしゃるのですか?」


アイシュレイズが執務室の奥にあるミリルの寝室の方へ行くと寝室の扉の隙間から黄金の液体が流れていることに気づいた


アイシュレイズ(これは……)


アイシュレイズ「陛下ァァァァッ!」


アイシュレイズがいつもならノックをするところをノックせずに強く開き、暗い部屋の中でミリルを探すと地面に黄金の血を流しながら倒れているミリルとそのミリルに剣を突き刺している顔にベールをつけた者がいた


ベールの者はミリルの体から剣を抜くと、その剣からミリルの血が垂れていた


アイシュレイズ「ッ…貴様ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!」


アイシュレイズがそう叫ぶと神遺聖全員に脳内伝達で状況が伝わり残り全員がすぐにアイシュレイズの隣に現れた


五神「ッ!」


ベールの者「……………」


トレイア「そんなっ…よくもご主人様をッ!」


神遺聖達全員がベールの者に切りかかろうとすると、体の支配権がまるで奪われたかのように硬直していた

神力を暴発させようとしても神力回路が固定されているようで何も起こらなかった


ンツァレイオン(なんなのこれは…)


イリアナ(体が動かない…こんなこと出来るの姫様ぐらいしか…)


ヴァーミリオン(一体何が起きてんだ…早く処置しないと主様が!)


レアフィルゼ(どんな傷も受け付けないミリル様の身体から血が出るなんて…あの者はミリル様と同等かそれ以上に強いというの?)


トレイア(動かなくても…神力が上手く使えなくても…あの子がこの異変に気づくはず…ご主人様の生命共鳴をしてるセーラっちなら…)


ベールの者「これは始まりに過ぎない、君達には終わりが来るまで神界以外の世界への行き来を許さない。セーラ・スフィーガーデンにこのことを伝えるのを許さない、セーラ・スフィーガーデンに伝えたいことを彼女が知ることも許さない、君たち以外の者に伝えることも知らせることも気づかせることも許さない。これは言霊、もし破ればミリル・セレントヴァインの命は本当に無くなると思うといい。安心して、まだ生きてる。ただこの神界から追い出すだけ」


アイシュレイズ(まだ生きている…では何故重傷に…)


ベールの者はそういうと倒れているミリルを持ち上げ、それと同時に現れた歪みの中にミリルを落とした


神遺聖(!?)


ベールの者「…皆私の呼び方が分からないでしょう…………ベーゼ。こう呼びなさい…そうか喋れないのか、それではさようなら。神界は皇帝神が居なくとも正しく動く、ただ象徴が居なくなっただけ」


ベーゼはそう言うと禍々しい色のモヤの中に入っていき、消えていった

それと同時に神遺聖達の拘束状態が解除され、戦うために踏み出した足を地面にたたきつけ全員が怒りを感じていた


アイシュレイズ「ベーゼ…いつかあの女神をこの手で輪廻を許さぬ斬撃で抹殺してやる…言霊の逃げ道を探さなくては…」


《???》

?(…寒い………何だろう…)


一人の少女が目を開けると体の左側が雪で覆われており、顔が火照っているのが分かるほど暑く感じた

目を開けるとすぐに起き上がり、辺りを急いで見渡していた


?(………白い平原…寒い……何処なんだろう…そもそも今まで何してたんだっけ…)


少女が目を瞑って思い出そうとしていたが何も思い出せず苦戦していると右手にチクッという痛みを感じ恐る恐る見るとそこには


君の名前はミリル、生きたいなら生きて死にたいなら死ねばいい


と書いてあった


ミリル(私の名前はミリル…?…それにしてもめちゃくちゃな文だなぁ…とりあえず寒さを凌げる所へ行かないと…)


ミリルという名の少女は腕を抱えながらゆっくりと前へ進んで行った


白い髪の毛故に雪がついてもわからない程

彼女は白かった




































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