ジグ
そしてまたループする。目覚めるとそこは舞踏会の4ヶ月前だった。
「……」
目覚めは最悪である。首と胴を分かたれる感触がまだ残っていた。不意にドアがノックされる。
「お嬢様。おはようございます。失礼いたします。モーニングティーのお時間です。」
「ジグ、おはよう。」
「はい。」
いつもなら嫌がらせで紅茶をわざとジグにかけるのだが、今日はそういう気分になれなかった。破滅を止めるためにはどうすればいいか、そればかりルナは考えていた。
「お嬢様?どうかされましたか?」
「いいえ、なんでも……!」
ルナはあることを思いつく。この男を利用できないだろうか?そう頭に浮かんだのだ。現代社会に転生した時に知ったのだが、ジグは実は王室本家の隠し子であり、隠し攻略キャラという設定を持っていた。
「ジグ!」
「は、はい!なんでしょうか?!」
「……」
とはいえ、仲良くなどどうすればなれるだろうか?
「……」
「お嬢様?」
「ジグ、何か欲しい物はない?」
「!?そ、そんな滅相もありません!今の生活で満足しております!」
「……そう。」
どうやって利用すればいいだろう?そう考えているとジグはいきなり土下座した。
「も、申し訳ありません!何かお気に召さないことでもあったのでしょうか?!」
「…いいえ、そうではないわ。」
「では?何故?」
「そこまで私って怖い?」
「は、はいもち……い、いいえ!滅相も無いことです!」
「そう。」
ルナはそっと手に持っていた紅茶をジグに渡した。
「?」
「かけなさい!」
「?!何を?」
「私が憎いのでしょう?ならその紅茶を私にかけなさい。」
「……憎くなど…」
「嘘が下手ね。いいわ。行きましょう。」
「どこに、ですか?」
「お茶会よ。」
そう。この日はお茶会があったはずである。身支度を整えてお茶会へ向かおうとした。だが、途中で馬車が壊れてしまうのだ。そして、お茶会に遅れる事になる。ルナはそこまで覚えていた。
「……ジグ。」
「はい。なんでしょうか?」
「私とデートしてくださらない?」
「はい!もちろ……はい?」
ジグは一瞬、その言葉の意味を理解できなかった。彼女はニタリと笑った。




