破滅の時
「どうして?!どうして火をつけたの?!答えなさい!ジグ!!」
「それは、貴方を、手に入れるために……!貴方を愛しているからっ…」
「嘘よ!愛しているならどうしてこんな酷い事ができるのよ!?」
「ご主人様は僕と貴方の婚約を認めて下さらないでしょう。なので……殺すつもりはなかったんです……。」
「人殺し!!」
「そんな事言わないで、聞いてください!」
ジグはルナに掴みかかる。ルナは力の限り抵抗する。
「いや!離して!」
「僕は貴方を手にいれる為に…!」
「離して!離して!!」
「!?」
もみ合っているうちにジグは転んで花瓶で頭を打った。
「……はぁ、はぁ……」
「………」
「……ジグ?」
「………」
その瞳が最後に映したのは愛しい人だけだった。そして今はもう、何も映らない。
「ジグ……?ジグ!?」
ルナはジグに駆け寄った。
「ジグ!ジグ!!しっかりして!!嘘よ!嘘でしょ?!」
何度も頬を軽くか叩くが起きない。
「私が、ころし……………いやぁあああああああああああっ?!」
ついにルナは狂ってしまった。ルナは走って逃げる。どこまでも走った。そして、森の中で迷ってしまった。途方にくれて木の根元に座り込む。
「アンドレス……お父様、お母様……私は、一体どうすれば……。」
「ごめんなさい。ごめんなさい。私は……」
「私は人殺し、よね?」
「え……?」
顔をあげる。
「ブルーム?!いや、私?!」
「……ええ、そうよ。私。」
「また私を殺しにきたの?」
「……絶望を、破滅を、味わったでしょ?」
「……ええ。」
「なら、堕ちなさい。私側へ。」
そう言って毒の小瓶を差し出した。
「私になればもう絶望なんてしない。チャールズも手に入る。富も名誉も地位も……そんな人殺しの汚い手とおさらばできる……さあ、堕ちなさい?」
ルナは震える手で小瓶を受け取る。
「さあ」
毒薬を手に、ごくりと生唾を飲む。これを飲めば死ぬだろう。そして、神の元へ行ってブルームにしてもらう。そうすればいい。そのはずだ。ルナは毒の瓶の蓋を開ける。中は紫の液体だった。ルナは瓶の毒を呷る。
「さよなら、私」




