背徳の確信犯
アンドレスはある舞踏会に参加することになった。そこにいたのがブルームである。アンドレスはブルームの肩に触れて、声をかけた。
「レディ、失礼。ブルーム・ストーン嬢で間違いないかな?」
「あら、アンドレス様。ええ。私がブルームでしてよ。」
「いや、こう呼んだ方がいいかな。ルナ・グラディウス、と。」
「!」
ブルームの顔色が変わった。
「あら、ご存知だったのね?それで?何のごよう?」
「ルナに嫌がらせをするのをやめてもらいたいんだ。」
「嫌がらせ?ふふふふふ。」
ブルーム、もとい、ルナは突然笑い出した。
「?何がそんなにおかしい?」
「私は彼女の為にやってるの!くだらないプライドを捨てれば幸せになれるのに……そうしない彼女が悪いのよ?」
「……嫌がらせはルナの為、自分の為だと?」
「ええ、そうよ。」
アンドレスとブルームが話しているとそこにチャールズが現れた。
「ブルーム!」
「チャールズ様!」
2人は親しそうに手を取り合う。
「ね?幸せ、でしょ?」
「……」
「何が幸せなんだ?ブルーム?」
「チャールズ様とこうしていられて幸せだと言ったのですわ。」
「はははっ。そうか!それは良い!」
「……失礼します。」
アンドレスは踵を返すように去ってゆく。
「さて、後はどう出るか……。」
ルナが何故アンドレスを頼ったかと言えば。アンドレスは魔法使いの家の血筋で魔法を多少なりと使えるからだった。
アンドレスはブルーム、つまりルナに魔法をかけた。ルナに近づかないように、と。この効果で、術者が死ななければ、1週間ブルームはルナに近寄れない。
一方焼け野原の実家をただ呆然と眺めていたルナ。そんなルナを慰めようとジグや使用人達は気をつかっていた。
「いいのよ。皆、気を使わないで……」
そう言ってルナは馬車へと乗り込む。アンドレスには申し訳ないが、アンドレスの元にお世話になろうと考えたのだ。
「お嬢様!僕も連れて行ってください!」
「ジグ……でも、貴方は……」
「お願いします!」
ジグも馬車に乗ってアンドレスの元へ行くことになった。馬車に乗ったジグ、そんなジグはこう言った。
「まさか、屋敷に放火されるなんて……お嬢様、気を確かに持ってください。僕がいますから!」
「ええ……」
「でも、お嬢様を助けに行けてよかったです。出火場所が遠くて幸いでしたね!」
ジグの言葉が頭をぐるぐると回る。
「……ええ。」
そう、それが1つの確信になるまで彼女は嘘なのだと自分に言い聞かせた。




