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「『物語』というのを今まで、ごまんと読んできて、ある時、(なかなか、俺の思い描いているような話は、なくなってきたなぁ…。)というのがあり、(じゃあ、自ら書いてみよう!)と思ったのが俺の執筆の始まりなんだけど、
最近、巷の創作話を読んでいて、特に長編ものや連載ものに感じさせられるのだが、その物語の始まりや、クライマックス、終わり方よりも、本筋と離れたタワイナイエピソードや、登場人物の、さりげない行動、会話に妙に心を震わせられる時が、あってね……。
今、述べたように、それを俺が小説として自ら体現しようとしたら……」
「それなりに長く書かないと、それらは生まれない…というわけだね」
話を切って発言した僕に彼は、大きく頷いた。
「俺の大作が、じきに完成するんだ……あとは、読み直して誤字脱字を訂正するくらいの作業だけ。
そして、大きな小説コンテストに応募してみようと思う。
この御時世、大賞とったら1000万円なんていう、小説コンテストもあるんだぜ!
あと、即、文庫化されます、みたいなのも!」
彼の語りは熱かった。
僕は、コーヒーカップを置いた。
そんな僕を見て彼は、また続けて話す。