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畑中のアパートに着く。
まぁ、入れよ!と言われ、彼の部屋で二人座り、コーヒーを飲む。
畑中は、高校時代からの友達で現在まで交流が続いていた。
畑中は、大学に進学して四年で卒業。
22から、社会人として働き、今年42に、なった。
彼は、とにかく転職が多く、その過程で、しばしの無職をしているわけだが、トータルとしては、
のべ18年間くらいは社会で間違いなく働いていた。
そして、現在は仕事は、しておらず、
何をしているのかを聞いたところ、小説をしたこま書いているということだった…。
僕から、そこについて彼に触れてみた。
「小説、順調?」
少し沈黙があった後、畑中が素っ気なく言ったことは、
実は学生時代から執筆はしていて、それらを公にしてはいない、ということだった。
彼は、続ける。
「女性に愛の告白をするとき、俺は、やはり、それなりの身なりで花束を手に、それを差し出し、面と向かって『好きです!』というのが、一番だと思っている。
長々と書いたラブレターや、友達を介して、それとなく伝える、とかよりもね。
あくまで、個人的な意見だよ。」
畑中は、コーヒーを飲みながら、話を続けた。