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僕の家族  作者: 蒼兎
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記憶


探り探りの文章になってしまい申し訳ないが、言葉を最近まで忘れていたため、また何よりその状態がとても不思議であり、とても不完全な言葉では形象し難いものであるということを頭に入れておいてほしいと思う。



私は誰。ここはどこ。

私の人生はまるで異世界転生物語の冒頭のような始まり方だった。

何もない空間にいた。何もなく、ただ自分と思われる物体が見えていた。不思議なところだった。

たまに、とてもたまに、上の方に、綺麗な変化があった。前に見たことのある、ソラというものと同じような時も有れば、急にヒというもののようになったりした。急に、前触れもなく見える時も有れば、だんだんと見えてくる時もあった。

とても綺麗だったような記憶がある。


次に覚えているのは、私とは違う形の動くものがここに来たことだった。いつも見ていた綺麗な変化の中から急に落ちてきた。かなりのタカサからきて、普通なら砕けそうなものなのに、不思議とケガをしていなかった。それはとても良く音を発し、私を混乱させた。私が今考えていることを表せるのも、その物体、ナマエを蒼太というらしいものに、教えてもらったからだ。


私は言葉を忘れていたようだ。

あまりにも長い時間、この黒い、昏いという表現が当てはまりそうな空間に、一人で居たからなのだろう。ただ上だと思われるところを見つめ、一人で動きもせず、言葉も発さず居たからなのだろう。

時間の感覚も無くなるくらいそうしていたら、私はまるで、ありきたりにいうとその空間の一部になって、溶けていたように感じた。

そこに蒼太が来てから全てが変わった。

まず、黒が薄くなった。

色が鮮やかになった。

言葉を思い出した。

話すようになった。

表情を知った。

感情を思い出した。

そして、笑うことが多くなった。

自分がここにあることを、あっても良いということを確信することができた。

他にも蒼太が色々なことを教えてくれた。人との話し方や笑い方など、蒼太が来てくれなかったら間違いなく今の私は無いのだろう。

これが私の古い記憶だ。

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