小説家は神様!?~「地の文」との関わり方を考える~
こんにちは!花咲き荘です。
12月に入り、本当に寒くなってきましたね。ここまで寒いと、外に出ることすら億劫になってしまいます。超絶乾燥肌の持ち主である花咲き荘は、外に出る時には手袋が必須となっています。
でないと、あかぎれだらけの手が……。
さて、世間話はここまでにして早速本題に入っていきましょう!!
「小説家になろう」にて執筆活動をされている皆様は、「地の文」をどのように活用されているでしょうか。私は「小説家になろう」に登録して、約8か月が経過しています。その間、他作家様の作品も拝見したくさん勉強させていただいております。
その中で気になったこと。それは「地の文」の使い方です。
本来、小説とは自由であるべきだと私は考えます。書き方が全て同じでは読み手も飽きてしまいますし、バラエティに富んでいるからこそ小説を読むのが楽しいから。
今回は、花咲き荘が考える「地の文」との関わり方を、私個人の感想として、ご紹介という形で書いていこうと思います。
◇
まず、「地の文」とは何ぞや。
Web小説では、「地の文」をふんだんに活用した作品と会話文を主軸に物語を展開させていく作品に大きく分かれます。
では、何故そのような違いが出てくるのでしょうか。
それは、主人公目線で描かれる作品が多いからではないかと花咲き荘は考えます。
Web小説では、一人称で描かれる作品と三人称で描かれる作品が互いに多く存在します。一人称で描かれる作品とは、いわゆる「地の文」で語られる登場人物が「俺」「僕」「私」目線で描かれる作品の事です。以降、これを「一人称型」とします。逆に、「地の文」が三人称によって描かれる作品を、以降は「三人称型」とします。
では、何故そのような作品では「地の文」を使わなくていいのか。それは、地の文で描かれるのが主人公サイドだけであり、全体を見渡して動きを付け足す必要がないからです。
例えばこのような場面を想定してみましょう。
◇◇◇◇◇
「○○くん、私はあなたが好きです!」
「え?」
「……前から好きだった、○○君が気付かなかっただけで。私ね、どうしても貴方と付き合いたい!」
「ごめん。□□とは付き合えない。俺、△△が好きなんだ。」
「……そう、なんだ。」
◇◇◇◇◇
こういう場面を用意しました。一応「地の文」が無くても成立はしています。……一応。
では、ここに「地の文」を挿入してみましょう。まずは、一人称の本文から。どうぞ!
「○○くん、私はあなたが好きです!」
□□は俺にそう告げる。
「え?」
俺は聞き間違いかと思い聞きなおす。正直□□に好かれる理由が分からないからだ。□□は少し間を置いて言葉を紡ぐ。
「前から好きだった、○○君が気付かなかっただけで。私ね、どうしても貴方と付き合いたい!」
俺の心臓は不思議と高鳴った。だが、その反面で目の前の彼女とは全く違う女子の顔が頭に浮かんだ。
「ごめん。□□とは付き合えない。俺、△△が好きなんだ。」
俺は□□にそう伝える。俺の頭の中に浮かんだのは彼女ではなく、△△だった。
「……そう、なんだ。」
彼女は俺の言葉に目を伏せる。彼女がどんな顔をしていたのか、俺には分からなかった。
◇◇◇◇◇
○○(俺)目線で地の文を入れてみました。では、次に三人称型の本文を。どうぞ!
「○○くん、私はあなたが好きです!」
□□は頬を赤らめて○○にそう告げる。
「え?」
○○は少し怪訝な表情を浮かべる。唐突だった。□□はそう考えた。だから、少し間を置いてから言葉を紡ぐ。
「……前から好きだった、○○君が気付かなかっただけで。」
そこまで言った時、□□の頭の中にあの時の光景が浮かぶ。それは○○と初めて話したあの時。それは、○○を好きになったあの時。
「私ね、どうしても貴方と付き合いたい。」
□□はそう言い切る。○○の心臓が一度鋭く鳴る。だが、○○の頭の中に浮かんだのは彼女ではなく、別の女性だった。
「ごめん。□□とは付き合えない。俺、△△が好きなんだ。」
○○はそう告げる。□□は頭が真っ白になった。
「……そう、なんだ。」
そう言って□□は目を伏せる。□□の顔は火が出るほど紅潮し、それを目の前の○○に見せたくなかったのだ。
◇◇◇◇◇
さて、いかがだったでしょう。どちらが優れているのかついては、完全に好みの問題であると思います。
しかし、これは考察系エッセイ。ちゃんと考察してみましょう。
◇
まず、一人称の方。利点は、2つあると考えます。
一つ目、それは物語が主人公目線で進んでいくため、物語の主人公に感情移入しやすいという事があげられるでしょう。
二つ目、それは物語の展開が早いという点です。
主人公目線で物語を進めていけば、物語の展開は早くなっていきます。心理描写も主人公のみで済みますし、展開を早めることで読者の読む手は進んでいきます。これは、一つ目の感情移入しやすいという利点と相乗効果を生み、読者の意欲は高まる事でしょう。
では次にデメリット。それは主人公以外の目線で物語を描けないという点です。
勿論、やろうと思えばできます。しかし、これまで主人公目線でのみ展開されてきた「地の文」に他の登場人物の心情や動きが入り込んできたら、読者の皆様はどう感じるでしょう。
まず、困惑します。それは必ず。
何故なら、せっかく一人称で物語が進んで感情移入していたのに「地の文」を語る主が変わるからです。つまり、一人称で語られる物語の「地の文」の主は主人公であり、他の誰も侵入できない絶対領域であるからです。
◇
次に、三人称型。
三人称型のメリットは、多人数の心理描写を「地の文」で描けるという点です。今回の例文では、それが色濃く出ていると思います。
では、デメリットを。それは、一人称ではあったはずの感情移入がしづらいという点です。
勿論、これは作者の度量次第でどうにでもなる問題であります。ここで言うのは、一人称で描いた場合と比較してという話です。
物語を三人称で描いた場合、そこには様々な人間を客観的に見て「地の文」で書き記す、登場人物とは別の語り手が存在しているのです。そのため、多方向から登場人物の行動を追っていけます。すると、どうでしょう。
まず確実に文字数は増えます。これまで語られなかった他の人物の心情などが書き記されるからです。
そうなると、一人称型にはあった展開の速さは落ちますし、主人公以外の情報が加わることで、物語の主役たり得る主人公への感情移入という点では弱くなります。
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それでは、まとめましょう!
まず前提として、私はどちらを選択しても全く問題はないと考えています。勿論、それぞれに特徴があり、場合によっては描きづらい部分が出てくることはあると思います。
しかし、それは作者の腕次第でどうにでもなります。
つまり、「地の文」とは作者の腕次第で良くも悪くもなる、その物語の神様たり得る作者の腕の見せ所と言えるでしょう!!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は「地の文」について書いてみました。私もまだまだ素人執筆家でありますが、これから物書きとして活動を始める誰かの役に立てればいいと思っています。