なぜ、ガソリンスタンドでは現金よりもクレジットカードの方が安いのか
昨年の秋くらいから、行きつけのENEOSで給油していると、従業員の方がすっ飛んできて熱心に営業をかけてくるようになった。
ピーンと来た方もいらっしゃるかもしれない。
ENEOSで使える、「EneKey」という決済端末の営業だ。
モノが増えるのが好きではない自分は、最初は「急いでいるんで」とあしらっていたのだが、毎度あまりにもしつこい営業と、エネキーだとリッター2円引きになるということで、根負けして作ってみた。
さて、以前から不思議に思っていたことがある。
なぜか、ガソリンスタンドでは現金払いよりも、クレジットカード払いの方が単価が安いのだ。
カード払いだと販売店はカード会社に決済手数料を取られるのだから、販売店にとっては損なはずなのに、むしろ現金より単価が安いのはなぜか。
それをこの際調べてみた、すると、
・クレジットカード払いの方が平均購買単価が高い(満タンで入れるなど)
・手持ちの現金が少ない、お札が読み込めないなどの「売り逃がし」を減らせる
・現金だと事務処理やつり銭の管理などの手間が必要
などなど、言われてみればなるほどという理由がいくつも目につき、カード会社へ払う決済手数料以上のメリットがガソリンスタンド側にあるようだ。
さらに、エネキーの場合はENEOSでしか使えないということで、顧客の囲い込み効果もあって「2円引き」してくれるのかもしれない。
さて昨今、「キャッシュレス化」を促す流れもあり、現金払いよりお得な決済方法がどんどん生まれ、自分も今はほとんどキャッシュレス決済を使っている。
だが、日本は世界屈指の現金大国であり、キャッシュレス決済比率はようやく30%いくかどうかというくらい。
実は「現金決済」を維持するために、日本では年間およそ「2兆円」もコストがかかっていることをご存知だろうか。
小銭を作ったりお札を刷るコストのことではない、1万円札は一枚あたり25.5円でできるそうだ。
(実は一番原価が高いのはアルミニウムを100%使っている「1円硬貨」で、一枚あたり1.8円かかり、作るほどに赤字らしい)
お金の原価ではなく、ATMの維持管理費や現金の輸送費・警備費などで、年間およそ2兆円もかかるそうだ。
こうした負担の軽減目的などもあって、キャッシュレス化を促す流れがあるのだと思うが、日本の現金大国ぶりは今後もそう簡単に変わらないだろう。
高齢者の方などは「現金オンリー」が標準だろうし、現金への安心感や匿名性、現金で払う温かみ、日本人の信頼性の象徴など、ある種の文化的なもののようにも思う。
対して、例えばクレジットカードには「悪用される」「使い過ぎてしまう」などのマイナスイメージを持つ人も少なくないのではないだろうか。
個人的な意見としては、クレジットカードで気をつけるべきは「キャッシング」と「リボ払い」をしないことくらいで、むしろ現金払いの時の方が使用額を気にせず使ってしまっていたと思う。
(クレカだと使用明細が見れるので、使い過ぎたらすぐわかる)
自分は1%還元のカードを使っているが、水道光熱費や通信費などの固定費支払いも出来る限りカードに集中させているので年間のキャッシュバック額もバカにならず、正直お得感しかない。
「~ペイ」などの決済アプリによるキャッシュレス決済に関しても、「よくわからない」「導入が面倒」「個人情報を悪用される」などの疑念の声を聞く。
ひとつ例を挙げると、関東圏に展開する「ビッグエー」という激安スーパーがある。
自分はビッグエー自社製の「青汁」のヘビーユーザーで、これまで幾多の青汁を試した中でもビッグエー青汁の安さ、飲みやすさ、効果はブッチギリのナンバーワンだ。
(原材料が全て国産野菜でゴーヤまで入ってるのに、一箱400円弱なんて安すぎる)
ずっと現金オンリーだったビッグエーにも数年前に「ペイペイ」が導入されたのだが、自分以外で「ペイペイ払い」をしている人をほとんど見かけたことがない。
レジでは、お客がお札を一枚、二枚……小銭を一枚、二枚……と並べ、レジ打ちの人がそれをじっと見守るのが常だ。
ペイペイなら数秒で支払いが終わり、キャッシュバックもあるのだが……。
このように、日本の現金第一ぶりはまだまだ健在な訳だが、クレジットカードや決済アプリでキャッシュバックやポイント付与されることや、支払いの利便性に慣れてしまうと、「キャッシュバックもポイントもないし、お札や小銭をいちいち出し入れする現金払いはなるべくしたくない」のが、今の自分の本音だ。
ついでにdポイントやTポイントも貯めたり、ドラッグストアなどお店のアプリのポイントも貯めていると、いつのまにかポイントだけで買い物ができるくらいに貯まっていたりするのが嬉しい。
自分は「節約したい、得をしたい」という気持ち以上に、キャッシュバックやポイント付与をゲーム感覚で楽しんでいる。
ただ、キャッシュレス決済は災害時などにシステムがダウンして使えなくなる危険性があるし、個人経営の店などでは現金のみの所も多いから、当然現金も持ち歩いてはいるが。
そして、支払いの話ついでにもう一つ蛇足を。
現金だろうがキャッシュレスだろうが、買い物をする際に自分がいつも心がけていることがある、それは、
「大きい買い物をする時こそ購入価格を吟味すべき」
ということだ。
人は金額が大きくなるほどに現実感が薄れ、金銭感覚が麻痺し、判断が曖昧になってしまう。
「大きい買い物ほど金銭感覚が麻痺する」
https://fromportal.com/kakei/saving/knowhow/paralysis.html
例えば、自分は割引が炸裂する夜のスーパーが大好きで、混雑を避けるためもありコロナ禍ではいっそう、夜のスーパーのお世話になっている。
割引額は一つ一つは数十円~数百円だが、節約のため少しでも安い方を選んでいる。
その一方、車を買うとなった時に「本体のみ300万円」と、「あれこれオプションをつけて301万円」だったら「どちらも大差ない」と感じないだろうか?
「1万円」単体だと大きいのに、「300万円と301万円」だとほとんど同じに感じてしまう。
しかし、その差額「1万円」をスーパーの割引額で積み上げるには、一体どれほどの割引惣菜を買えば良いだろうか。
つまり、折角キャッシュレスでコツコツポイントを貯めたり割引品で節約しても、一度の大きい買い物で適当に判断してしまえば、今までの還元・節約額を簡単に吹き飛ばしてしまう可能性があるのだ。
なので、大きい買い物をする時こそ何か割引はないかとか、より安い店はないかとか、不要なオプションが付いていないかとかを徹底的に吟味した方が、節約効果が大きい。
大きい買い物の時にはある程度の予算を考えて買うと思うが、「予算内で収まればいい」のではなく、「いかに予算と購入価格との差額を生み出して、その差額を他のことに回せるか」を自分は考える。
この話を聞いて、「セコイ!」と感じた方もいらっしゃると思う。
しかしこれは、昔自分がお世話になっていた不動産コンサルタントの社長さんに教わった節約術だ。
そして社長はこうも言った。
「セコく」ではなく「賢く」なれ、「不要なものは買わず、使うべき時にしっかり使え」と。
自分もキャッシュレスのメリットを全て活かしきれている訳でもないし、上手い買い物を毎回できているとも思わないが、日々の支払いにちょっと目を向け疑問を持ったりしてみると、そこには様々なカラクリが隠されていて、そういったことを知れるのも自分は楽しかったりする。
今回のガソリンスタンドの件も、また一つ学ばせてもらった。
そしてガソリンスタンドに限らず、消費者だけではなく販売店にもメリットが大きいのならば、キャッシュレス決済の方が得になる場面は今後も増えていくのかもしれない。