【男女】深海の眠姫
作者名、夏凪ひまりの紹介orタグよろしくお願いします。
✿→女性
✵→男性
✿「深い、深い海の底、私は目覚めを待っている。」
✵「深い、深い海の底、そこには昔、海底に沈んだ王国の秘宝が眠っているという。宝などには興味はない、ただ本当にそんな国が存在するのか見てみたかった。」
✿「忘れられた王国、今日も静かな海の底、私はただ眠る。」
✵「やっと見つけた、海底王国。あった、本当にあった。喜びを噛み締め一歩城門をくぐれば、地上と変わらない空気に満ちた不思議な世界。……古の魔法。この街全体が今は失われてしまった文明の宝の塊だ。」
✿「空気が震える音がする。侵入者?それとも……」
✵「この街で一番立派な扉、何となくこの扉に呼ばれている気がする。古錆びた錠前は簡単に壊すことが出来た。天上に鮮やかなステンドグラスがあしらわれた、教会……だろうか。
しばらくあたりを見回していたが、私は驚き息を飲んだ。祭壇の前に一人の女の子が横たわっている。この国が海に沈んで少なくとも100年は経っている。生きているはずがない。しかし、少女は骨になることも、歳をとることもなく、太陽の輝きさえも霞んでしまうほど美しかった。
ふと、幼い頃に聞いたおとぎ話を思い出した。口付けでよみがえるお姫様の話。そんなことあるわけない。でも、私は胸の底から湧いてくるこの衝動を抑えることが出来なかった。
麗しの姫どうか安らかに。(キス)」
(雫音)
✿「瞳をあけると、昔懐かしい天上。視線を動かせば、唖然と私を見つめるあなた。無理はない。息をしていなかった人間が突然動き出したのだから。
長い眠りについていました。目覚めさせてくれてありがとう。逃げ出してしまうのだろうか、彼も。あの日私を一人生贄にした人々のように。」
✵「……一人で…………」
✿「え?」
✵「こんな、暗く寂しい海の底で、ずっと一人耐えていらっしゃったのですね。なんと、辛く悲しい運命なのでしょう。」
✿「涙を流すあなたの清らかな心が、暗く沈んだ私の心を洗い流してくれるようでした。待ち望んだ目覚め。これでやっと外の世界に出られる。
でも、そのためにはあなたが私の代わりにここで眠るの。その事実を知ったらあなたはどんな顔をするかしら。」
✵「君との日々は、楽しかった。たくさんの話をした。街中を見て回った。泳ぐ魚を見て昼寝をした。はにかむように笑う君の笑顔をもっと見たくて見たくてしょうがなかった。……私はこの街に留まることにした。帰ったところで、第五王子の私には、居場所などない。」
✿「優しい人だった。彼との毎日は心安らいだ。ついに私は、彼に身代わりになって欲しいと言えなかった。」
✵「あなたと共に海の底に沈もう。あなたがいれば、私は他に何も望まない。」
✿「あなたのために私は眠ろう。この失われた王国の魔力の源となって。私はあなたを……」
✵「愛しています。」




