宇宙(そら)からの来賓者
再びお会いできて幸いです。
どうか飽きずに見てやってください。
お願いします。
そのカプセルに向かって腕の大砲で撃った。
キュイーン パウゥゥ
それと同時にカプセルは液体みたいに融け、その中からナルを取り出し、そそくさと家に戻った。(戦艦は銀河の果てにルトがワープさせた。)
ナルを助け出したルト。ひとまず安心。二人で今後のことを話し合うが、何をすればいいのか全くわからない。そこへやってきた少年とは何者か?
家に戻ると天井には穴が開き、床にはその破片が散乱していた。さすがに部屋を一気に掃除できる能力はないので、自分で生成したほうきで部屋をかたずけていた。
「ん?...あれ?モルゲ族の人たちは?」
ルトは目を覚ましたナルを見て少し安心し、ため息をついた。
「もういないぞ。それより部屋の破損を阻止できなくてすまなかった。」
ナルは首を横にぶんぶん振り、
「いやいや、いきなりのことだったから仕方ないよ。私なんか命助けてもらっちゃって怒ることなんかできないよ。」
そう言い終わったあと少し間をあけて思い出したように、
「そういえばモルゲ族の人達もジオク族の人達みたいに腕を大砲みたいなものに変えられるの?」
「ああ。でもできることといったらそれと瞬間移動くらいだな。」
「他の一族の人達もそういうことができるの?」
ルトは少し考えて、
「たぶん、銀河系の中でそういうことができるのはその二つの種族ぐらいだな。だから、ジオク族はかなりモルゲ族に手をやかれたんだ。」
「へー。」
そう言ってナルはルトの方を見ながらきおつけをし、
「この度は、わたくしの命を助けていただき、まことに感謝申し上げます!」
ルトは少し顔を赤らめ、また散らかった部屋の掃除に没頭した。それを見たナルも一緒になってしばらく掃除した。
* * *
ある休日の夜のこと。
新しく買ってもらったルトの布団を敷くために、ナルと一緒にルトの部屋に布団を敷き入れてそのそばに二人で座り、
「このあとどうするの?」
ナルが言った。
「何をだ?」
「え?だから...あれだよ、今後地球に残るのかまた宇宙に行くのかどうか。」
「...。しばらくはここにいるつもりだが、いつかは宇宙に戻りたいと思う。」
ナルは少し寂しそうな顔をして、
「うん...。そっか、確かにいつまでも地球にいるわけにはいかないよね。」
「しょうがないと思ってくれ。でも、またナルに何か危険なことがあったら絶対に守る。約束だ。」
「う...ん。あ、あのさ、もしよかったら、もしよかったらでいいんだけど、その時は私も連れて行ってくれる?」
「ああ、もちろんだ。だけどほんとにいいのか? 地球から離れることになるんだぞ?」
ナルは答えなかった。
* * *
それから数日経ったころ。突然それは訪れた。
ルトと一緒に祖母に頼まれたお遣いに行っていると、後ろから何かが走ってくる音が聞こえた。
「ルトさま~! お~い! ルトさま~!」
後ろを振り向くと、肩甲骨くらいまでの髪の毛に、160cm位でナルたちよりちょっと高いくらいの身長、真っ白な肌に、胸囲もそこそこ、優しそうな顔立ちに、黒いワンピース、中でも一番気になるのは、右脇に抱えている謎の字が書かれた本を持った人が走ってきた。
続く
五話もお楽しみに!