食堂、そして仲間
1時を回っている食堂には、2、3人くらいしか居なかった。
「今日は珍しく静かだね……」
燈が周りを見渡しながら、そう呟く。
いつもは、そこまでうるさくはないが今日は人数が少ないため、余計静かに感じる。
「まぁ、今日は遅かったからな」
「とりあえずご飯取りましょう! お腹ペコペコなのです!」
「そうだな」
ーー5分後ーー
「よーし、食べますですよ!」
『はぁ……』
その三人の手の上には、何かにでもぶつかったら落としかねないほどの大きい皿が乗っていた。そのほとんどが利乃の食べ物だ。
「いつも思うんだけどさ、利乃これ食べきれるの?」
テーブルの上に一つずつ皿を置きながら、燈が利乃に尋ねる。
「? 今更どうしたんです? 利乃が食べきれなかった事なんて今の今までありましたです?」
3人が運んだ利乃が食べる分の皿の数は、10枚ほど。利乃はこれをぺろりと1人で完食してしまい、多いときにはそれの更に倍の皿を追加しに行く。そして、食事の終わり頃には、その持ってきた全ての皿は必ず綺麗になる……。利乃はそれくらいの大食いなのだ。
「こんなに食べて、狙撃手だって言うのに利乃は良く太らないよな……」
光輝がそう呟くと、利乃が食ってかかってきた。
「先輩っ! 狙撃手だってちゃんと動くんです! 一回撃ったら、位置がばれるから必ず動くのが基本なのですっ! だから、私は太りません!」
「あー、はいはい。悪かったよ。……なんで太らないんだろう?」
「聞こえてますですからっ! しかも今さっきそれ、言いましたですっ!」
「あははっ!!」
光輝と利乃が言い合っている(利乃の言葉を軽く光輝が逸らしてるだけだが)と、少し離れた窓際の席の一角から笑い声が聞こえてきた。
「あはっ、はははっ! ……はぁはぁ、ひっさしぶりに思いっきり笑ったなぁ……。おっはよ~、光輝、燈、利乃」
笑い声の正体は窓際の席から立ち上がった髪の長い女性だった。