三人の仲
島田さんに武器の点検をお願いした後、
「先輩っ! 利乃、お腹減りましたです!」
と利乃が言ったため、三人は昼食を取るために食堂へ向かった。
「利乃、今日は何体の不明者を殺したの?」
光輝が利乃に尋ねる。利乃が指を折りながら数える。
「んーとですね、40匹くらいです」
「おぉ! 結構倒したな。……あれ?」
確か、あそこに倒れていた不明者の数は50匹程だったはずだ。ということは……、
光輝が燈に目を向ける。すると燈はスッ、と光輝達から目を逸らす。
「あれ? もしかして、燈さんは10匹しか倒してないの? なんで倒してる数が年下の利乃よりも少ないのかな?」
燈の武器は近接戦闘用の短剣で、機動力で相手を翻弄してとどめを刺す、というのが燈のスタイルだ。
しかし、利乃の武器はM24狙撃銃。本来、狙撃銃は遠距離戦闘用なのだが、利乃の気力はホテル内では1位を誇り、性能が上がるのは驚異の2倍程だ。そのため、射程や威力はもちろん、装填速度や銃口初速も2倍程速くなる。だから、燈が利乃よりも不明者を倒せないのはしょうがない事ではあるのだが……。
「うるさいっ!」
光輝がニヤリとしながら言うと、燈の拳が光輝の顔に迫る。それを光輝はぎりぎりで避ける。
「うわっ! 危ないだろ!」
「まぁ、今のはどっちも悪いですけど……、そろそろケンカは止めませんか?」
それを見ていた利乃が呆れながら言う。
「いつものことだし、まぁ許してやってくれよ。燈、もうちょっと静かにしてくれ」
「どう考えても私のせいじゃないのに、なんで言われなきゃいけないのっ!?」
「いや、燈がうるさいからだから」
光輝が笑っているともう一発、燈から拳が飛んできた。次は顔ではなく腹だったため、避ける事ができずに横腹に拳を受ける。
「痛っ! お前、女子のくせに力は強いんだから、少しは加減しろっ!」
「光輝が最初に、私の事をからかってきたからでしょ!」
二人は睨み合う。バチッ、と二人の目線の間で電気が流れた。
「もう、先輩方っ! もうそろそろケンカはやめてくださいです! 食堂に着きましたですよ!」
二人はまた口をつぐむ。
年下の利乃に、何度言われれば俺(私)達は気が済むんだろう、そう光輝と燈は同時にそう思ったのだった。