〜始まりの物語〜
〜プロローグ〜
あぁ、いつかこんな光景を見た気がする。
視界いっぱいに広がるひまわり畑
見上げれば雲ひとつない青空
ジリジリと暑く、私は深呼吸をする。
「熱い…んーー。夏の匂いがする」
なんだか幼い日を思い出すかのような、
あれは、いつかだったか。
もう思い出せないけれど、
大切な思い出だった気がする。
誰だったか、誰かと一緒にいた気がする。
私はよく既視感に襲われる。
いつもは気にもしないけれど今日この光景だけは
なんだか分からないけれど胸が苦しくなった。。
〜第1章〜
今日はいつもと違う道を歩いている。
「どっちだろう??」
初めての通学路に違和感と不安を抱きながら
この道であっているのかわからないまま歩いていた。
昔からそうだ。
自分の感を過信している節がある
でも今までは大概上手くいっているので仕方がない。
テストや人間関係、今日の晩御に至るまで
殆ど感に頼っている。
それでいつも満足する結果になるからだ。
「方角的には間違っていないはず。」
ふと視線に入った看板があった。
それはみた目はいかにも年季の入った感じで
「喫茶マイ」
そう書かれてあった。
すぐ脇には赤ポストがある。
「喫茶店?」
ツタの生えた赤レンガの建物がそこにあった。
少し興味を持ったがお茶をしている場合ではないのだ。
学校へと早く行かなければ…
「雰囲気あるなぁ…今度にしよう。」
そう自分に言い聞かせ我慢する。
「けど、気になるなぁ〜」
時間は惜しいが好奇心が止まらない、
情報収集だと、入り口の隙間から少しだけ覗いてみた。
あまり人の気配がない
「う〜ん、やってないのかなぁ??」
「…まぁ、いっか!」
その時点で興味が無くなり先を行く
その建物の脇道を…
走り出したところで感じてはいた。
行くべき道ではないと、
ただ、どーせ道は繋がっていると
自分の感を無視してしまった。
そう、今日だけは違った。。。
なんでその道を選んでしまったのか
なんとなくだった、
ただ成り行きでそっちに走った。
違和感はあった。
なんとなく分かっていた。
でも
こっちに行って見たら何か起こる気がしたのだ。
目まぐるしく過ぎて行く生活に…
ちっとも楽しくない日常に…
変化が欲しかったのだ。
今の生活よりも楽しい何かが起きそうな…
そんな予感がしたからだ。
胸を締め付けるかのような焦燥にかられ
走りながら振り返ると、なんだか景色が濁っているように見えた。。
「あぁ…道、間違えちゃったかな笑??」
今でも後悔している?していない?
そう誰かが説いた気がした。