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九十七話 絨毯の上で転がして掃除するアレ

 地球外生命体さんも参戦した。

 しかし、地球外生命体さんの攻撃は届かない。

 知恵をさずけてあげたらめっちゃ狙われた。



 あれから、一時間ぐらい経っただろうか


 ようやく地球外生命体さんの攻撃対象が暗黒香辛料へと移ってくれた。


 尻から反れて、散弾の一発がタマタマに当たった時は、地球外生命体さんに殺意を覚えたりもした。


 特にこれといってうらまれる様なことをした覚えは無いんだけどな。


 ツバーシャは、大量に暗黒香辛料の亡骸をまとったままギュンギュン飛び回ってる。


 普通、視界がさえぎられたら墜落する。

 その辺りは飛竜さまさまといったところか。


 しっかし、暗黒香辛料減らんな。

 1000は落としたとおもうんだが、焼け石に水だ。

 やはり、極太抱き枕を応援すべきだ。


 執拗な地球外生命体さんには解放されたし、今なら助けに入れるし。


 そう思って極太抱き枕の方を見た。


 ゴゴゴゴゴ……。


 墜ちてますやん!?

 最後の希望墜ちてますやん!


 なんとか再浮上しようと頑張っているみたいだけど、抱き枕の先っぽが今にも下を向きそうだ。


 破損とかはないみたいだが、まとわりつかれすぎて重いんだろう。


 急がないと不味い。


 なんとかならんものかと俺は墜ちゆく極太抱き枕の一つに近付いた。


 極太抱き枕の四隅に艦積絨毯が群がっていた。


 でも、戦っているわけじゃないみたいだ。

 なにかしようとしている。


「オチテるヨ!」

「ハヤク杭を抜くんだヨ!」

「ヌケない。強く打ち込みすぎだヨ!」


 どうやら、極太抱き枕の四隅に打ち込まれた杭を引っこ抜こうとしているらしい。


 杭にロープを巻き付けてみんなで引っ張ってる。


「その杭を抜くとどうなるんだ? 必要なら手伝うぞ」


「「「暗黒香辛料がしゃべった!?」」」


 またかい。

 そんなやり取りしているヒマは無いだろうに。


 手っ取り早く納得してもらう為に手近にいた暗黒香辛料を翼で叩き落として見せた。


「ほら。俺は味方だ」


「イッパツで暗黒香辛料が堕ちてったヨ!」

「アナタ良い暗黒香辛料だヨ」

「クイ抜くとくっついた暗黒香辛料が一掃出来るんだヨ!」


 良い暗黒香辛料ってなんだ。

 まあ味方だと認識してくれたなら良いか。

 しかし、くっついたヤツを落としてもまた群がれるだけだろうに。


 改めて極太抱き枕の表面を見てみれば、みっちりと隙間なく暗黒香辛料が張りついていて、ちょっと気持ち悪い。


 おや……?

 張りついている暗黒香辛料がもがいているような?


 更によく観察してみると、極太抱き枕と暗黒香辛料の間に餅みたいにネバネバしたのが見えた。


 ほー。

 考えたな。

 表面になにかを塗って張り付けることで無力化したのか。

 てことは、あの杭を抜くと──。


 なるほどな。

 どうやら一方的にやられているわけじゃ無かったみたいだ。


 活路が見えれば行動力も上がるってもんだ。

 早速杭に近づいて抜いてしまおう。


 でも、このまま極太抱き枕に乗ったら俺までくっついちゃいそうだ。


 なにか無いもんか……。

 あっ、ちょうどアレがあったな。

 餅つきしたときに使った片栗粉。


 作ったは良いけれど作りすぎて始末に困って鞄に突っ込みっぱなしだった。


 壺に入れただけだとカビたり、湿気たりしそうだしね。


 とにもかくにも、壺から一掴みすると絨毯に撒いて

みた。


 うし。

 着地出来た。

 まだネバつくけど多分完全にネバつかなくしちゃうと滑ってしまうからちょうどいいな。


 時間がないしさっさと抜いてしまおう。


 しかし、大人数で引っ張っても抜けなかったのに俺に引っこ抜けるんだろうか。

 

 生前よりずっと動くようになったから、健康的な筋肉がついてはいるけれど足りんよなあ。


 魔法で壊すか?

 いやいや、一本破壊しただけで魔力が尽きる。

 杭は極太抱き枕一本に四本あるんだ。

 魔法じゃどうにもならない。


 いかん、俺の手に負える代物じゃない。

 どうにかしなきゃって思いだけで動きすぎたわ。

 よく考えたら俺は空飛ぶしか能がなかった。


 ちょっと後悔した。


 うーん。

 翼を下から振り上げたらどうにかならんもんかね。

 やるだけやってみるか。

 ダメだったら勇気を出してごめんなさいダメでしたって言わなきゃな。


 なんて、ネガティブな考えを振り払うつもりで翼を振り上げてみた。


「うおりゃあ!」


 スッコーン!


 気持ちが良いくらい簡単に抜けた。

 悩んで損したな。


 一本抜いてしまえば後は流れ作業だ。


 スッコーンスッコーンスッコーン!


 ズルッ……。


 思った通りだ。

 杭を抜いたら一番外側の絨毯が剥けたな。

 絨毯の上で転がして掃除するアレみたいだ。

 なんて言ったけか。


 ともかく、これで大量の暗黒香辛料を倒すことができる。


 全ての極太抱き枕をペリペリ剥いてしまおう。

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