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九十三話 チョウチョがとんでる

 ニワトリがちゃんと鳴けるようになった。

 タコにイタズラされた。

 畑は順調だし、空を飛んでみることにした。



 降りるところに目星を着けたは良いが、街に近すぎたかも知れない。

 建物が見える距離だ。


 岩山の回りは砂漠だしなあ。

 発見されなきゃ良いけど。

 そん時はそん時か。


 空飛んで逃げれば良いね。


「ご主人さま。丸いおもちのてっぺんを引っ張った様な建物があったのです!」


「んー。モスクだったけな。建物の上にどうやってあんなの乗せるんだろうね」


「ツバーシャちゃんなら出来るのです」


 飛竜ありきの建築かー。

 前世の世界にもあったし、飛竜前提は無いと思うなあ。


 とにもかくにも、俺たちは岩山に降り立った。


「ツバーシャとシノはまだ降りてくるまでに時間が掛かりそうだな」


「ご主人さま臭うのです」


「えっ? ほんとに? じゃあ、今日はお風呂に入らないとな」


 流石に毎日はお風呂に入れないし、城なしは温かいから臭っちゃうかな。


 くんくん。


 うーん。

 自分じゃあ分からないな。

 でも、顔が魚くさい。


「違うのです! この周りが臭うのです!」


「んー? どれどれ……。ふむ、なんか地面からスパイシーな臭いがするな」


 なんだろう?

 どこかで嗅いだことがあるような気はする。

 でも、この臭いに覚えはないな。


 そんな事を考えていると──。


 ズガガガガガ……。


 ツバーシャが空の上から降りてきた。


 あーあ。

 相変わらず、むちゃくちゃな着地をする。

 地面岩だからひっどい事になってるわ。


「ルグググ……」


「ツバーシャちゃん傷だらけなのです!」


「直ぐ治るからって無茶しすぎだよ? ほら、そこの岩影で休んでなね」


 帰る頃には回復するだろうけど、痛々しくて可哀想だ。


 早く、着地を身につけて欲しい。


 ゴゴゴゴゴ……。


 続いて城なちがシノを乗せて降りてきた。


「主さま。待たせたのじゃ」


「ううん。気にしないでおくれ」


「ふむ。ツバーシャは……。ひっどい事になっておるのう」


「ルグググ……」


 そっとして置いてあげよう。


 ツバーシャには休んでいてもらうことにして、付近の探索を始めることにした。


「あっ! チョウチョが飛んでるのです!」


「どこだ? 焼き払え!」


「ふええええ!?」


「あ、主さま。何も焼き払うことは無いんじゃないかのう?」


 甘い!

 甘すぎる!

 蝶類は農業最大の害虫。

 一匹足りとも生かしては置けない。

 どんだけあいつらに、生前作物をレースの様に穴を開けられたことか!


 でも、ラビの情操教育には悪いかも知らん。


「すまん。興奮し過ぎた。チョウチョカワイイネ」


「ご主人さま嫌そうなのです!」


「主さま蝶が嫌いなんじゃのう」


 そらな。

 チョウチョ大好き何て農家はおらんだろう。

 しかし、アゲハチョウか。

 生前子供のころ飼っていた気がしないでもない……。


 確か庭の夏みかんの葉っぱを芋虫に喰わせていたような気がする。


 そうそう、こんな感じにトゲの生えた木でね。


「あっ、これオレンジの木だ」


「食べられるのです?」


「うん。甘くて美味しいよ」


「実はなっておらぬが、花は咲いておるのじゃ」


 ぐぬぬ。

 城なしに欲しいが、チョウチョがいたって事はタマゴ産み付けてそうだな。


 いや、別にいいか。


 アゲハチョウは柑橘類の木にしか付かんし。


「よし、城なしにもって帰るぞ。このままもって帰るから、多分今年食える」


 スコップを取り出すと早速回りを堀始めた。


 トゲが刺さって鬱陶しいのよな。

 生前も剪定せんていする時に苦労したわ。

 ごみ袋に穴空くし。


 むう。

 岩場だけあっはて掘りにくいな──。

 よし、掘れた。


 岩場に頑張って生えてるし、一本だけにしとこ。


 実がなりゃ増えるべ。


 城なちがいるから木ごと運べて便利だ。

 マジックアイテムには入らないし、ツバーシャに持っていってもらうとなると、凍りつく。

 オレンジは寒さに弱そうなので、ちとツバーシャでは無理だ。


「他には目ぼしいものはないな」


「ならば、石拾いかのう。ここには大量にあるのじゃ」


「頑張るのです!」


 ずっと、海が続いていたしな。

 城なしも楽しみにしているだろう。

 たくさんもって帰ろうね。


 そんな訳で俺たちは、マジックアイテムや城なちに石を集めた。


「こんなものかな。城なちにあんまり乗せると落っこちそうで怖いし」


「これだけあれば、今日のところは満足してくれるとおもうのじゃ」


「そうだと良いけどね」


 城なしは、自分を拡大中だ。

 面積ではなく、容積を拡大しているから、とんでもなく大食らいだ。


「さて、後はひと休みして帰ろうか」


「ご主人さま! なんか空飛んでこっちにくるのです!」


「む? なんだ?」


 ラビの指差す方を見ると確かになんか空飛んでる。


 ターバン被って、えーと、なんなんだ?


 抱き枕を抱いて、人が空飛んでる……。


 ほんとにあれは何なんだろう。

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