七十八話 世の中大抵壺でどうにかなる
無表情おじさんの村には食料が足りなかった。
城なしの子供に城なちと名付けた。
城なちが運ぶのを手伝ってくれた。
芋、鮭、水を城なしから持ち出し、城なしに石を運び込む。
そして、城なしへと運び込まれた石で壺が作られる。
城なしは、壺と石を物々交換していると思ってるのかな?
イギリシャ王国の時みたいにたくさん作っとる。
もちろんこの壺も村へと届けた。
「壺がいっはいなのです!」
「壺は便利だからね。きっと役に立つさ」
「しかしのう。結局住むところはどうするのじゃ?」
「穴でも掘るかしら……?」
それなんだよなあ。
まあ、取り合えず住めればいいし、もう穴でいいんじゃないかな。
あっ、難破船綺麗にして住んでもいいんじゃないか?
かなり痛んでるけど。
なんて、おざなりな事を考えていると、俺たちがお風呂にしているサイズの壺が運び込まれていく様子が目にとまった。
「壺がお風呂になるのは便利だよな。何でどこの国もこれ思い付かないんだろう」
「いや、主さま。こんな大きな壺をどうやって作り上げると言うのじゃ」
「ああ、そうか。巨大な壺は城なしだからこそか……。巨大な壺……。ひらめいた!」
ああ、何で気が付かなかったんだろう。
「壺に住めば良いじゃないか!」
「ふええええ!? 壺に住むのです!?」
「壺はあんまりじゃないかのう? 物じゃなかろうて」
「あら、シノはよく壺のなかに収まって昼寝しているじゃない……」
うむ。
タコだって住んでる。
ならば人だってすめるハズだ。
早速城なしに伝えて、巨大な壺を作ってもらう事にした。
「城なし! 巨大な壺を作ってくれ!」
デカ過ぎてどこに声を掛けたら良いのか分からんので、城の辺りに向かってお願いしたのだが。
「お返事がないのです」
「城なしは気まぐれじゃからのう」
「今はそう言う気分じゃないのかしら……」
うーん。
言葉は通じていそうな気がするんだがなあ。
ならば──。
俺は城なしにある一番大きい壺を横にして中に入り、寝転がったり、寛いだりして壺の有用性を訴えた。
「ご、ご主人さま何をしているのです?」
「いや、城なしの壺が必要とされている事を身振り手振りで伝えようかと」
「流石に無理があるんじゃないかのう」
「そうでも無さそうよ……?」
ゴゴゴゴゴゴ……。
通じたようだ。
「壺がにょきにょき生えてきたのです!」
巨大な壺がどんどん作られていく。
これで、住居の問題も解決だ!
数日後。
村は大変様変わりした。
「見ろ! 世の中大抵壺でどうにかなるんだ!」
「横にしたり、ひっくり返したり、そのまま住んだり、個性があって良いわね……」
「壺の町なのです! おうちもお風呂も机も椅子もトイレも畑もみーんな壺なのです!」
「わぁは、主さまの適当な思い付きが形になるのが怖くなってきたのじゃ。ふつう思い付いてもやらん」
シノには呆れられてしまったし、無表情おじさんや開拓者の文化に、変なもん割り込ませてしまった感がしないこともない。
しかし、取り合えず、彼らの過去や未来は分からんが、今は確保できたんだ。
後は逞しく生きて貰おう。
そして、彼らの反応は──。
「神は我らに路を示された。偉大なる友人を讃えて今ここに神の国ツバサを建国する!」
「「「おおおおお!」」」
逞し過ぎるだろう!
しかも村から国家にグレードアップしてるし。
極めつけは俺が国になるんかい!
何これ恥ずかしい。
「やっぱりご主人さまは凄いのです!」
「別に俺大したことしてないよね?」
「そうかのう? 歴史に残る程の事をしでかしたんじゃあないかのう」
「ふーん。人の歴史というのはこうやって紡がれるのね……」
違うと思う。
しかし、せっかく産まれた国家だ。
頑張って末長く続いておくれ。
中々の武闘派集団だし簡単には、くたばらんだろう。
踊り子による弾丸防御。
開拓者のもつ銃。
無表情おじさんの強大な肉体。
そして、【染め上げる】。
とても強そうだ。
「世界取れるんじゃないかこの国」
「大袈裟じゃのう。主さまは、このまま覇道を突き進むのかのう?」
「まさか。とっとと逃げ出して城なしでゴロゴロするさ」
「そうね。早く穴に戻りたいわ……」
「トウモロコシを植えるのです!」
そうだね。
城なしに帰ろう。
帰ってトウモロコシを植えよう。
お祭り騒ぎな彼らを他所に。
俺たちはそっとこの国を後にした。
六章城なしまとめ
施設
・かまど
・トイレ
・トイレ:お客さん用
・忍者ハウス
・壺ぶろ
・コンポスト
・城
・ぷちラビの浮き島
家畜、魚
・すずめ
・白いもこもこヒヨコ→ニワトリnew
・ヤマメ
・サケ
畑など
・さつま芋の壺畑
・大豆の壺畑
・米の壺田んぼ
・シイタケ
・オクラの壺畑
・ポップコーンの壺畑new!
果樹など
・バナナ
・サルナシ
・ヤマグリ
・竹
・クルミ
・お茶
その他
・城なしの子供『城なち』new!
・水源
・川:トイレ直行
・川:池通過
・川:サケ用
・海
・池




