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七十一話 迷子の子ウサギ初めてのお友だち

 お宝を物色した。

 ラビがヘコんだ。

 金銀財宝を手にいれた。



 お宝分けっこもそこそこに難破船を出た。


 日が傾いてきた。

 そろそろ城なしに戻らないとな。


「あれ? ラビがいないな。どこいった?」


「はて、ツバーシャとずっと手を繋いでいたと思ったのじゃが」


「船からロープを使って降りるときに手を離したわ……」


 ふむ。

 そっからどこらに行ったか分からんと。


 これは不味いな。

 シノやツバーシャならはぐれても、自力でどうとでもなりそうだけど、ラビには無理だろう。


「とにかく探そう。時間経てば経つほど探し出すのが難しくなる」


「どうやって探すのかしら……?」


「主さま。ここは砂浜ではなく、ゴツゴツとした岩だらけの海岸じゃが、少しは足跡が残っているハズなのじゃ」


「なるほど! 早速、船のところまで戻って探そう」


 言うが早い俺達は船のところまで戻り、ラビの足跡を探した。


「あったぞ!」


「あー……。途中から薄れて追えなくなっているのじゃ」


「これじゃあ、見付けられないわね」


 俺は深い後悔に打ちのめされ、ラビの足跡が消えた方へと膝をついた。


 くそっ。

 もっとちゃんと見て置くんだった。

 子供が迷子なんて良く起きそうなトラブルじゃないか……。


「ご主人さまー! 何をしているんです?」


「ラビが迷子になってどこに行ったか分からなくなったんだ……。あれ?」


「ラビは迷子に何てなって無いのです」


 振り返るとでかくて無表情なおじさんの肩に乗ったラビがいた。


 いや、何で足跡が消えた方と反対方向から現れるの?

 迷走にも程がある。

 にもかかわらず、その事実を否認してくるとは太いやつだ。


 いや、それよりも。


「そのおじさん誰!?」


「お友だちなのです!」


「ラビが初めて連れてきたお友達は無表情なおじさん!?」


 俺どんな顔したらいいの?

 教えて世界中のパパとママ!


「ラビ、我らが良き友人。良く食べる」


 あっ、本当だ。

 何か白くてほわほわしたのおじさんに貰って食べてる。

 何だろう?


 ん?

 それよりも、今、我“ら”って言わなかったか?


「「「ラビ、我らが良き友人。良く食べる」」」


「うおおおおお!? いっぱい現れた!?」


「落ち着くのじゃ主さま。状況からみて、ラビを保護してくれたと見て良さそうなのじゃ」


「そうね。あっ私にもその白いの貰えるかしら……?」


 確かにその通りだ。

 少し動揺してしまった。


「すいません。取り乱してしまって──」


 ガシッ。


 謝罪とお礼を言おうとしたところで肩を掴まれた。


 なっ、何だろう?

 ラビから目を離し、迷子にしてしまったから、責めらるのかな?

 甘んじて受け入れよう。


 そう考えたのだが──。


「子供に首輪良くない。子供に鎖良くない」


 男は目を閉じてふるふると首を振った。


 えっ、そっち?

 いや、普通はそうか。

 ラビの首輪と鎖を見たら悲しくなるか。


「「「 子供に首輪良くない。子供に鎖良くない 」」」


「ひぎぃ!?」


 これは怖いわ。

 一糸乱れぬ動作で俺を責め立てる無表情なおじさんたち。

 鳥肌がたったわ。


 うーん。

 どうやって説得しよう。

 下手な事言うと大変な事になってしまう気がする。

 慎重に言葉を選ばないと。


 えーと……。


「ラビはご主人さまのどれいなのです!」


 軽やかに引き金引いた!?


「「「「……」」」」


 ラビの言葉を聞いてみんなこっち見つめてるし!

 屈強で無表情のおじさんたちが哀しげな瞳で俺を見つめてるし!


「違っ、違うんだ! これは──」



 その後、真っ暗になるまで俺の弁明は続いた。


 そして。 


「ツバサの者我らの友人。村に招待する」


 何とか誤解を解くと俺も無表情なおじさんたちのお友だちになっていた。


 でも困ったな。

 もう暗いから帰りたいんだが……。

 それに村で歓迎とかされると発作起こすし。


「「「ツバサの者我らの友人。村に招待する」」


「ちょっ、俺までラビみたいに肩の上に乗せるのか」


「わぁもか。悪くないのうこれ」


「そうね。何だか気分がいいわ……」


 何だと……?

 おじさんの肩座り大人気だと?

 ぐぬぬ。

 この子たちは渡さん、渡さんぞ!


 などと嫉妬して、帰ることなど忘れてしまい。


 半ば強制的に村へと連行された。 

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