六十四話 ぷちラビと遊ぼう
シノが毛づくろいをおねだりした。
ラビとツバーシャの毛づくろいもした。
俺も毛づくろいしてもらった。
皆で仲良く毛づくろいをすると、やる気が回復したのでオクラを塩ゆでして出してみる事にした。
まな板に塩ふって、オクラを転がしてと。
あれ?
何の為だっけか?
まあ良いか、さっさとゆでてしまおう。
ちょっと適当な感じだが細かいことはええんじゃ。
大体男の料理とか言っておけば誤魔化せる。
「お星さまがいっぱいなのです!」
「オクラは輪切りにすると楽しいね」
「コレも枝豆見たいに毛がはえているのじゃな」
「変わった食べ物ね……」
初めてだと抵抗があるかな?
お口にあうと良いのだけど。
いざ、食卓へ。
オクラばかりの緑な食卓だ。
「はー。ねばねばなのです!」
「本当にこれも糸引くのじゃ」
「ふふっ。良いわね。好きよこれ……」
おや、意外なところから好評価が!
シノあたりが、一番口に合いそうだと思ったが、ツバーシャか。
人の好みってのは分からんもんだ。
人じゃないけど。
そんな新しい発見のあった食事を終えると、ぷちラビがノコノコやってきた。
(ねえねえ、一緒に遊ぼうよ!)
(遊んで遊んでー!)
(構ってほしいの!)
おお!
ぷちラビに遊んで欲しいとせがまれてしまった。
これだよこれ。
ちっちゃい子に囲まれて遊んでほしいとせがまれる。
こういうのに憧れていたんだ。
前世では考えられない光景だ。
仮にこんなふうにせがまれてオッケイした日にゃ、マスコミに取り上げれるだろう。
もちろん悪いニュースで。
さて、何して遊ぼうか。
ぷちラビはちっちゃいから、結構難しいな。
うーん。
( ねえまだー?)
(きっとすごく楽しいのを考えてるんだ)
(焦らされてるにょ)
ハードルあがっとる。
よし、丸投げしよう。
ぷちラビたちに考えてもらえば良いんだ。
一緒に考えるのも楽しかろうて。
「ぶちラビは何して遊びたい?」
(((分かんなーい!)))
そっかそっか。
分かんなーいか。
俺も分かんなーいわ。
「ほうほう。何して遊ぶのか困っているのかのう? ならば釣りなんてどうじゃ?」
流石忍者。
主さまの危機にすっと助け船を出してくれる。
でも、釣りはどうなのよ?
(あー! 楽しそう! オイラ餌ね!)
(それいいね! 食べられるの楽しそう!)
(どきどきハラハラなの!)
ウケるんかい!?
しかし、凄いな。
どんだけ、発想力が高ければその発想にたどり着くんだ。
餌になって食われていく光景を楽しむとかぷちラビにしか出来ないし。
そんな訳ではしゃぐぷちラビをつれて、城なしの海で釣りをすることにした。
シノに釣竿の予備を貸してもらい、皆で海に振るう。
ぷちラビが糸にぶら下がっているだけだから沈まんな。
釣りって重りとかで水中にエサを沈めるんじゃあないんか?
無反応だとふちラビが、ションボリしてしまうぞ。
「本当にこれでお魚釣れるのです?」
「さあのう。わぁはこんな釣り方したこと無いから知らないのじゃ」
「ふふっ。楽しいわねこれ。何だか酷いことをしているみたいでゾクゾクするわ……」
こらこら。
ぷちラビにひっどい事する趣味には目覚めないで欲しい。
「うーん。しかし、なかなか、反応してくれないなあ」
(そんな事ないよ!)
(水のなかでコッチをすごく見てる)
(ぱたぱた羽を揺らして溺れたふりすれば食いつくかもなの!)
(((それだ!)))
そうかあ?
まあ、多分こうやって色々やってみるのも楽しいんだろうな。
ぷちラビはそれぞれ個性的な演技を始めたわ。
本当に溺れているみたいでちょっと怖い。
(来る来る来る来る来たー!)
はしゃぐぷちラビ。
バシャ!
跳ねる魚。
(((キャー!)))
叫ぶぷちラビ。
ドッボーン。
とても楽しんでいるようだ。
針着けていないから、回収せんでいいから楽で良い。
(ねえねえどうだった?)
(ぐわーってなってがーだった!)
(良いなー!)
何言っているんだかよくわからんぞ?
大興奮ってことか。
確かに自分より遥かにでかい魚が跳ねてかぶりつく様はスリルがありそうだ。
(あっ! そっちに、足がいっぱい生えた魚がいるぞ?)
(本当だー! 何かぬらぬらしたのいるー!)
(キャー。こっちにくるの!)
「足のいっぱい生えた魚ってなんだ?」
「あんまり、見たくは無いのです……」
「タコかの。ほれ、ぷちラビが、次々に掴まっておるのじゃ」
「タコ……。ふふっ。良いわね。生まれ変わるのならタコが良いわ……」
ナゼに!?
タコに転生とか絶対に足を制御出来ないだろう。
泳ぐのにも苦労しそうだ。
まあ、ぷちラビが足に絡め取られていく様子がおきに召されたのだろうけど──。
そんなこんなで日がくれるまで魚釣りして、楽しんだ。
ぷちラビは大層まんぞくしてくれた。
魚やタコには迷惑だっただろうけどね。
 




