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二百三十一話 昨日の敵は今日も敵

 馬人の女の子を見付けた。

 ヘンタイが取り囲んでいた。

 女の子を保護した。



 腰の低いちょっと頼りのない感じのする人だ。


 腰に下げたゴツい鉈の様な剣を見る限り衛兵かな?


 特大の三つ編みを背に垂らしている辺り、腰の剣は飾りかもしれない。


「何やらチュンカ人同士で争っている見たいですが今どんな状況なんですかね」


「ああ、あそこで暴れているなかで数の多い──」


「アイツら全員です! 全員あたしに酷いことしようとしたです! 取っ捕まえてひどい目に合わせて欲しいです!」


「なんと! こんなちいさい子に酷いことをしようとしたんですか? 許せません」


 いやいやいや。


「コラコラ。嘘はダメだ。オルワがいくらチュンカ人を嫌っていたとしてもそれを理由にチュンカ人を貶めちゃあダメだ」


「でも……」


「正直、アイツがどうなろうと知ったこちゃないが、それだとオルワが後悔して自分を傷付けることにるぞ」


 と、言ってから説教臭かったかと後悔。


 納得いかないのか、オルワはうつ向いてしまった。


「私はオルワちゃんの気持ちも分かりますよ。チュンカの人たちは毎日問題ばかり起こしてくれますしね」


「うん……」


「でも、オルワちゃんが手を汚すことは無いんですよ。チュンカと決着を付ける日は近いんですから」


 決着?


 それってまさか……。


 オルワに悟られないよう、そっと耳打ちしてきた。


『戦争ですよ。関係が悪化しすぎてもう止まりません……』


『やっぱりか戦争か……』


『脱出するのでしたらお早めに……』


 もとより長居するつもりはないが、すべては城なし次第だな。


 む? 城なし戻って夜を明かしてしまったら、この街から離れてしまいそうだな。


 明日のレースだけは出ないとうけないから、宿を取ったほうが良さそうだ。


 またどこかへ遊びに行ってしまう可能性もあるけれど、今回の事を省みるにそう遠くへは行かない気がする。


「じゃあ、気持ち悪い体勢でびったんびったん飛び跳ねている方だけ捕まえて行きますね」


 そういって、衛兵はヘンタイトリオに向かおうとする。


「あっ、待ってくれ。今回の件とは関係ないんだがアイツも酷いストーカーでな」


「はあ、ストーカーですか? ストーカーは立証が難しいですよ?」


「まあ、そうなんだろうと思うがアイツはユンの前の騎士らしくて、無理やりユンに跨がろうとするし、アイツ跨がるとユンが痒がるんだ」


 辺りの温度が冷めきった様な感じがした。


「なんだ? いったいどうしたんだ?」


 一番近いオルワの顔を覗き込むと目と口をこれでもかと言うくらい大きく開いている。


 どういう事?


「あの方は騎士ではなくなったんですか」


「ん? 騎士ではなくなると罪にでもなるのか?」


「いえ、罪にはなりません」


 なんだ、ならないのか。


「ですが、騎士が馬に拒否反応を起こさせるとなれば、肉体的、あるいは精神的に相当な苦痛があったと言うこと。そんなやからに何をしても罪にはなりません」


「えっ!?」


 気分次第で最悪死刑じゃあないか。


 ユンの半径Xメートル以内に近付いたら『はい逮捕』みたいな刑を想像していたんだがな。


 気付けば、いつの間にやら集まっていたギャラリーが石を投げつけていた。


「い、痛っ、何をする! 余が誰だかわからぬのか!」


 わからんがな。


「我輩たちにも石が当たっているのでアル」

「これは許されない暴挙なのでアル」

「我輩たちが何者かわかっているのでアル?」


 お前らもか……。


「「「「我輩(余)はチュンカの重鎮ぞ?」」」」


 だからなんなんだ。


 投石から始まった可愛いげのある私刑だったが。


「シネッ!」

「コロセッ!」

「ブチノメセッ!」


 なにやら殴る蹴るの大乱闘に発展してしまった。


 もしかしたら、俺が戦争の引き金を引いてしまったんじゃ無かろうか。


 これは俺がどうにかしなければなるまい。


「あっ……」


 しかし、俺はその時大変なことに気が付いた。


 いま布袋被ってない!


 俺は意識が急激に遠ざかるのを最後に感じた。

このお話にはシークレットストーリーが存在します

『シークレットストーリー チュンカの女』

興味があれば探してみてください

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