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百一話 あかちゃんは畑で採れる

 イモムシの体内に侵入することになった。

 それも尻から突入することになった。

 イモムシの体内はダンジョンの様になっていた。



 イモムシダンジョンの先の方では、光が揺れている。


 むっ。

 ナニかいるな。

 魔物か?


 いくらなんでもそれはないか。


 このイモムシさっき生まれたばかりだし、体内に魔物を飼っている魔物なんて聞いたことがないわ。


 じゃあ、あれはなんだ?


 とにもかくにも慎重に近づいてみるしか無いだろう。


「ンガー!」


 だが、相棒にその考えは無いらしい。

 ドスドスと音を立てながらかけて行く。

 ラビやシノを置いてきて良かった。

 こっそり行く二人と、突撃しゆる地球外生命体さんのスタイルとでは相性が悪い。


「ンガ!」


 先行く地球外生命体さんは両手を広げると。


 パーン!


 蚊に対する要領でナニかをぶっ潰した。


「ナニを潰したのかね?」


「ンガー?」


 両手を開いて俺に見せてくれた。


 あらら。

 木っ端微塵だ。

 しかし、この蛾っぽい破片から察するに暗黒香辛料か。


 そして、明かりの正体もわかった。


 りん粉が光っていたんだな。

 そりゃ、粉っぽいハズだ。


 地球外生命体さんはそんな光の粉を見つめてる。


 好奇心をくすぐられているのかな?


「ンガガ……」


「えっ、ちょっと地球外生命体さんなに俺の翼で手を拭いてるの!?」


 なんか手が汚れちゃった。

 あっ、ちょうど良いとこにタオルあった。

 拭いちゃえ。


 そんなとこか?


 おう。

 そりゃ、蛾を潰したら手が汚れるわな。

 だがもの申す。


「地球外生命体さんや。この翼お気に入り何だがね」


「ンガ!」


「えっ、なんでそこで俺を指先指すの? あっ、光るりん粉が翼について幻想的な感じになっているね」


 だからなんだって言うんだ。


 しっかりキレイに拭いてくれたおかげで練り込まれて取れないし。


「ンガンガ!」


 憂鬱な俺をよそに地球外生命体さんはグイグイと俺の翼を引っ張ると今度は前方を指差した。


「引っ張るともげちゃう! 今度はなんなんだい……。ん? なんじゃこりゃ?」


 暗黒香辛料がわらわらと集まってなにかしている。


 侵入者を排除しろって感じではないな。

 飴玉の様なものを地面に埋めている?

 そしたら水をかけるのか。


 ある程度それを繰り返すと、天井がぱっくりと開き瞳孔のない瞳の様なモノが現れる。


 それはだんだんと光だし、外と同じぐらいの明るさで辺りを照らす。


 すると地面から見たことあるような双葉が生えてきた。


 これは……!

 もしかして虫が農耕しているのか!?

 体内で?

 ナニその永久機関みたいなの。


 長いこと植物育てて来たけたけどその発想は無かったわ。


 胃で溶けるか、腸に吸収されそうだし。


「ンガ!」


 すぼっ。


 あっ、引っこ抜いた。


 パクっ。


 食べた。


「ンガー……」


 戻した。

 形容しがたい顔してる。


「コラコラ。こんなん口にしたらどうにかなっちゃうかも知れないぞ? 」


 そんなやり取りをしていると。


 ピチョン……。


 黒い液体が、苗に触れた。

 すると波紋が拡がるようにみるみる黒くなっていく。

 これが暗黒香辛料……。


 もしかして、神聖香辛料と暗黒香辛料は同じものなのか?


 いや、それよりも……!


 黒い液体が垂れてきた方を見やれば、鍾乳洞に生えた氷柱みたいなやつが生えている。


「これに神聖核をぶつければいいのか?」


 でも、違ったらどうしよう。


「ンガ!」


「あっ、ちょっと地球外生命体さん!?」


 地球外生命体さんは、これでもかと言うぐらい体を捩って振りかぶり、神聖核を黒い氷柱目掛けてぶん投げた。


 パーン!


 木っ端微塵になる神聖核。


 間違ってたらどうするんだよ。


 しかし、そんな想いは杞憂に終わり。


 ゴゴゴゴゴ……!


 イモムシダンジョンが揺れ、崩れ始める。


「いかん。このままじゃ生き埋めになってしまう。急いで外に出よう!」


「ンガ!」


 俺たちは競うようにして、イモムシダンジョンの尻を目指して駆け出した。


「うおおおお! あと少しだ! 間に合えー!」


 出口は目前。

 だが、自重に耐えられなくなったイモムシダンジョンは天井が徐々に下がり、俺たちを潰す勢いだ。


「ぐっ……! ダメだ。間に合わない!」


「ンガ!」


 そんな時。


 地球外生命体さんは俺を抱えあげ。


「えっ! 地球外生命体さん?」


「ンガー!」


 先ほど神聖核を投げた時と同じ要領で俺を出口に向かって投げ飛ばした。


 ブォン……!


 ズブッ!

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