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望郷星96

「あんた頼むよ。私は刑務所に面会なんか御免被るからね」と母さんは言った。

完全なる瞑想装置とは何だと僕は自分に問い掛ける。





瞑想装置になれば計り知れない力を獲得出来る事は間違いない。




だが瞑想装置になれば脆弱なる人間存在の感情と心は失う。





僕はその脆弱さを由として、しがみついているひ弱な心しか持ち合わせていない臆病者だ。




そして今現在進行形の見合いは、彼女が略奪愛を僕に奨めている推移を鑑みれば破談になるに違いない。





この世界の母さんを喜ばせ満足させる為にはこの見合いを何とか成功に導けば最良なのだが、どうも不器用な僕にはそれすら出来そうにない塩梅だ。





見合いは上手く行っていないと、正直に母さんに言えば良いのに、僕はそれさえも母さんに言い出せないでいる。




出来る限り親孝行したい。





僕はそんな含みを抱きながら母さんに向かって言った。





「母さん、俺母さんにおんぶに抱っこばかりの状態だし、バイトしようと思うんだ」





「何のバイトやるの?」




僕は照れつつも答えた。





「気功師の手伝いをしようと思っているんだ」





意外な顔付きをして母さんが頷き尋ねて来る。




「あんたの道楽で稼ぎになるのかい?」




僕は頭を掻きつつ苦笑いを浮かべてから言った。





「いや、俺が施術をするのではなく、あくまでも気功師の先生のヘルパーという感じでやろうと思っているのさ」




心配そうな顔付きをして母さんが言った。





「あんたが手かざしやって、患者が死んだらあんた冗談抜きに刑務所行きだよ」





僕は再度苦笑いしてから言った。





「大丈夫だよ、母さん。俺はあくまでもヘルパーだから、手かざしはしないし」





母さんが軽くため息をつき言った。





「あんた頼むよ。私は刑務所に面会なんか御免被るからね」

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