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望郷星92

「あんた本当にギネスブッククラスのマザコンだね。馬鹿息子」と母さんは言った。

時が流れるこの世界では、この安らぎは未来永劫続く訳ではない。



それならば。




僕が望んでいるのは万物が流転しない、流れない単一の時間相に存在するであろう未来永劫の安らぎなのかもしれない。





母の胎内に抱かれて、その温もりだけに身を委ね、甘えていられる永劫の世界。





やがて確実に訪れるだろう死を恐れる事もなく、安らぎが未来永劫続く世界は正に桃源郷極楽浄土だと思う。





命が潰えるこの世界では、この安らぎと快適さもやがて潰えて全て消え去る定めなのだ。




泡沫の安らぎは流転し続く事は有り得ない。




そんな事を念頭に置きながら、僕は母さんに二度と繰り返す事の無い刹那として刻まれて行く安らぎの断片を貪るように求めて行く。




「ギネスブックも願い下げならば、母さん、今度は俺に未来永劫酔っ払う事の出来るアルコールとしての嫁さんを紹介してくれよ?」




母さんが微笑み言った。




「それが今あんたが付き合っている未亡人じゃないか。だからあんた達酒ばかり飲んでのお見合いを繰り返しているのだろう?」




僕は笑い言った。





「それはそうだが、でもあの未亡人には母さんと同じような安らぎは無いよ。ギネスブッククラスの安らぎが俺は欲しいのにさ」




肩を揺すって母が笑い言った。





「あんた本当にギネスブッククラスのマザコンだね。馬鹿息子」

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