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望郷星90

「でも略奪愛を実行に移したら村瀬と血で血を洗うような激しい戦いになりますよ」と僕は言った。

僕は気を削がれたように物静かな口調で言った。




「それで貴女は僕の重大な心の問題を解決するべく、何をしろと言いたいのですか?」




彼女が思いを切るように言った。





「ですからその乖離と分裂、及び抑圧を埋め合わせるべく、自己同一性障害を解き放ち、略奪するという渾身の愛の力で再び成美ちゃんへの激しい恋慕に向き直るしかないと私は思います」





僕は反論した。





「でも乖離しているだろう今の僕は、成美ちゃんへの激しい恋慕なんか明らかに無いし、だからこそ乖離や分裂は解き放たれないと僕は思っているのですよ」




グラスを口に運び彼女が間を置いてから言った。





「貴方の諦念が乖離と分裂、そして抑圧を生んでいると私は思います」





眼を細め再び瞼を見開き僕は言った。





「諦めずに再度挑戦すれば、僕の精神病は治ると貴女は言いたいのですか?」




グラスを両手で差し挟み、その冷たさを再確認する仕種をして彼女が言った。





「私はそう思います」





「でも略奪愛を実行に移したら村瀬と血で血を洗うような激しい戦いになりますよ」





彼女が励ますように言った。





「心の問題を解決する為にもそれを覚悟の上で再度挑戦するべきだと私は思います」

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