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望郷星87

「貴方は自分の恋心を己のストイックさでごまかし略奪したのですよ。それも立派な自己同一性略奪愛の典型的な類例ですよね」と彼女は言った。

論争に拍車がかかって行くのを激昂している僕は止められない。




彼女が言った。





「加えて言いますが、貴方は成美ちゃんという女性にアプローチ出来ない分、自分に嘘をついていて、それが自分を騙す詐欺的欺瞞の所以ならば一番罪深いのではありませんか?」




僕は憂さを晴らすように立て続けに酒を飲んでから反論した。





「だから何度も言っているじゃありませんか。僕は成美ちゃんに恋心なんか抱いていないと」




彼女が論争を楽しむように余裕の笑みを浮かべてから言った。





「貴方こそ略奪愛の張本人なのですよ」





「それはどういう意味ですか?」





彼女がためらわずさらりと言って退ける。





「貴方は自分の恋心を己のストイックさでごまかし略奪したのですよ。それも立派な自己同一性略奪愛の典型的な類例ですよね」





僕は彼女の意見を馬鹿にするように鼻で笑い言った。





「何ですか、その自己同一性略奪愛とは。正にお笑い草ですね」





彼女が冷静な面持ちのままに構わず続ける。




「貴方は自分の本心を詐称して正義感ぶっている偽善者だと私は申し上げているのです」




僕は彼女の暴言を押し込むように睨みつけたまま怒りを堪え言い放った。





「僕の本心には友情など無いと貴女は言いたいのですか?」





彼女がグラスに口をつけてから、おもむろに言った。




「逆に尋ねますが友情なんかあるのですか?」

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