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望郷星86

「いいえ、略奪愛は愛です。断じて詐欺なんかじゃありません」と彼女は断固言い張った。

僕は憤りを抜くように息を吐き出してから言った。





「略奪愛なんか詐欺と同じではありませんか。詐欺はどんなに巧妙な手口の詐欺でも、詐欺は詐欺ですからね。加害者は例え初犯であろうとも執行猶予さえつかず厳罰に処せられる定めではありませんか」





彼女が冷徹な表情を崩さずに言った。





「刑事罰の対象としての犯罪と愛を対比しないで下さい。略奪愛も愛のカテゴリーに入るものならば、それがどんなに狡猾な騙しのテクニックでも、愛である限りは刑事罰の対象にはなりませんから」




僕は声を荒げ反論を重ねる。





「でも人を騙し陥れ略奪する事は刑事罰の対象にならなくとも、立派な詐欺と酷似した罪ですよね。その罪に騙され陥れられた憐れな被害者が全て悪いと言うのは正に言語道断、詭弁ですよね?」





彼女が首を振り答える。




「そこに詐欺的な金銭的なやり取りが加われば確かに刑事罰の対象になりますが、略奪愛そのものは愛を獲得する為の衝動所作であり、その分欲得づくだけの詐欺呼ばわりされるのは、私にしてみれば心外なのですが」





僕は酒をがぶ飲みしてから、深呼吸して意を決するように言った。




「略奪愛なんか詐欺と同類ですよ」





彼女も断固引かないぞと言う姿勢を崩さず貫き、言い張る。





「いいえ、略奪愛は愛です。断じて詐欺なんかじゃありません」

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