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望郷星8

僕は己の滲み出るような狂気の発露に背筋の凍るような一抹の不安を感じつつ言った。

僕は立ちくらみのような感覚を振り払い尋ねた。





「しかし、あの水中で不条理に聞こえた悲鳴が鮫に食われた悲鳴ならば、あの悲鳴は成美ちゃんのものではなく、あの少女のものと言う事にならないか?」




清浄法を繰り返している田村が異論を唱える。





「いや、あの悲鳴はこの無人島でも聞こえ、同時多発的に海の中でも聞こえたのだから、瞑想装置もどきの成美ちゃんのものだと逆に俺は思うわけだ」





僕は狂気が立ちくらみを呼び込んでいるという感覚を振り払い答える。




「つまり村瀬の仕掛けた罠たる成美ちゃんは罠たる機能を果たさなくなるから、鮫に食われる道理は無いと言う論法か?」




「そうだ。罠が罠でなくなってしまったら罠の意味は潰えてしまうからな」





僕は己の滲み出るような狂気の発露に背筋の凍るような一抹の不安を感じつつ言った。





「成る程。しかし未だに俺達は状況を打開出来る可能性のある鮫に遭遇すらしていないじゃないか。本当に鮫はいるのか?」




田村が滲み出る狂気としての悪意を醸し出すように答える。





「海に潜れば身体のだるさ重さは消えるからな、お前試してみれば良いではないか?」





僕はその悪意を跳ね退けるように苦笑いしてから言った。





「遠慮しておくわ」

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