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望郷星78

略奪愛という言葉を聞いて、僕は再度胸が疼くのを感じ、それがそのまま何かしらのキーワードになっているのではないかと感じつつ話しを逸らした。

彼女が艶を帯びた声で言った。





「成美ちゃんとは、貴方にとってどんな女性なのですか?」





僕はここで成美ちゃんに対する忘れていた仄かな恋心を思い浮かべ、胸が疼くのを感じつつ、それを隠して答えた。




「いえ、貴女の言い回しが僕の友達の彼女の言い回しに似ていたものですから、つい口をついて出ただけですよ」





彼女が僕の瞳の奥を凝視し見透かすように言い放った。





「貴方はその成美ちゃんと言う女性を好きなのですね?」





図星を突かれて僕はうろたえ、しどろもどろになりつつ答えた。





「い、いえ、そんな事は、あ、ありませんよ、ご、誤解です」





彼女が見抜いたぞと言う会心の笑みを浮かべてから言った。





「別に好きな女性がいたって、寂しさや好奇心を紛らわす為にお見合いをするのは自由だと思いますが」





僕は自分の気持ちを立て直すように言った。




「いえ、僕は成美ちゃんの事なんか好きなわけありませんよ。友達の恋人だし」





彼女が充血した眼差しで僕を見詰め言った。




「いいじゃないですか。友達の恋人だって。略奪愛と言うのも有るのだから」





略奪愛という言葉を聞いて、僕は再度胸が疼くのを感じ、それがそのまま何かしらのキーワードになっているのではないかと感じつつ話しを逸らした。




「はしごしませんか、行きつけのカウンターバーに行きましょうよ」

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