望郷星77
「でもライン等をやってその場凌ぎの場当たり的な寂しさを紛らわしても、逆にもっと寂しさを増長するだけですよね。それは人混みの中にいると、皆赤の他人で余計孤独感を感じてしまうのと同じ理屈だと思うのですよ。だから貴方みたいに心ここに在らずならば、そんな寂しさを感じないで済むから、それがエキセントリックな可愛いらしさに結び付いているのかもしれませんよね」と彼女は言った。
核心部分が謎のまま会話が推移して行く。
酒が滅法強い彼女が言った。
「でもライン等をやってその場凌ぎの場当たり的な寂しさを紛らわしても、逆にもっと寂しさを増長するだけですよね。それは人混みの中にいると、皆赤の他人で余計孤独感を感じてしまうのと同じ理屈だと思うのですよ。だから貴方みたいに心ここに在らずならば、そんな寂しさを感じないで済むから、それがエキセントリックな可愛いらしさに結び付いているのかもしれませんよね」
僕は尋ねた。
「寂しさを感じないのがエスニックな魅力なのですか?」
彼女が答える。
「そうですね。エスニックな孤高の人という感じで魅力的だと思います」
又、話しが瞑想に少なからず近付いて来たので、僕はグラスを置きすかさず尋ねた。
「エスニックな孤高とはどんな孤独感の魅力なのですか?」
彼女がしばし沈思する間を置いてから答える。
「エスニックな場所で、群れず単独行で山登りする登山家の魅力に近いものがありますね」
僕は苦笑いしてから、おもむろに言った。
「すいません、僕は山登りなんかしませんから、エスニックな孤高の登山家の気持ちなんか理解出来ませんが」
彼女が愉快そうに笑い言った。
「そんな感じの魅力だという事です」




