69/310
望郷星69
「分かった。とにかく現状の状態を的確正確に把握する意味でもあの未亡人の正体を何とか探ってみるわ」と僕は言った。
僕は尋ねた。
「しかし、やはりお前の無人島に対する記憶は欠如しているのだろうな?」
無為な左回転する胸のチャクラを収めて田村が答える。
「いや、あるが無いという同時多発的存在論の唯々となると思う」
僕は呼吸法を駆使しながら尋ねた。
「それはお前が無人島に行っているが行っていないという意味合いの存在論か?」
息を止めて腹部のチャクラを右回転させつつ息を再度吸い込み吐き出してから田村が答える。
「そうだ。だから俺にはお前が会っている未亡人に、会っているが会っていないという記憶の不条理な空洞が出来ているわけだ」
僕は瞑想を中断し眉をひそめてから言った。
「分かった。とにかく現状の状態を的確正確に把握する意味でもあの未亡人の正体を何とか探ってみるわ」
田村が言った。
「ここはカオスの坩堝だ、慎重に行けよ」




