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望郷星65

「彼は占いが好きで、君と僕はアガティスの葉の予言に則り、結婚する宿命だとプロポーズされたのです」と行かず後家は言った。

僕は尋ねた。





「面白いですね。それはどんな意味ですか?」





瀟洒な喫茶店の中、落ち着いた佇まいで彼女が答える。





「彼は占いが好きで、君と僕はアガティスの葉の予言に則り、結婚する宿命だとプロポーズされたのです」





僕は愕然としてしばし沈黙してから尋ねた。





「ア、アガティスの葉ですか?」





彼女が過去を反芻する眼差しをしてから答える。




「そうです。そのアガティスの葉の予言という美辞麗句に私は引かれて結婚したのですが、彼は呆気なくガンにかかり死んでしまったから。錦鯉の裏表なのですよ」





僕は息をついて頷き注釈を入れた。





「つまり表面美しい結婚としての幸運を招くアガティスの葉の予言とは裏腹にその予言は悍ましい死を意味していたから表裏一体の錦鯉なのですね?」




彼女がやるせない顔付きをして答える。





「そうですね。物事には必ず裏表があるという事の典型的な錦鯉の例えですね。だから私の旦那に対する思い出は美しいが悍ましいという事になりますね」




僕は感服したように頷き言った。





「成る程、アガティスの美しい予言は生死が表裏一体で有ったという事ですか?」





彼女が恭しく頷き言った。





「そうですね。だから私は占いは信じない事にしたし、結果として男性も同じく信じていないのです」

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