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望郷星57
「寄生虫は様々な病気の素じゃない。馬鹿息子め一本取られたわね?」と母さんは言った。
母さんが言った。
「あんたは付き合いが多過ぎるのよ。それで奢ってばかりいるから金欠病になるのよ。お人よしと言うのも、母さん立派な病気だと思っているのよ。この意味わかる。馬鹿息子?」
僕は微笑ましさに思わず苦笑いし続けながら答える。
「奢って金欠病になるのは困った人達に愛の手を差し延べる、言わば立派な慈善行為だし、それの何処が病気なんだよ、母さん?」
母さんがしっぺ返しをするように苦笑いし、言った。
「奢ればあんたの友達にとっては仏様かもしれないけれでも、私にとってはお小遣を無心する寄生虫じゃないの」
僕は腹を抱え大袈裟に笑い言った。
「寄生虫は病気じゃないし、母さん天然かますなよ?」
母さんがしてやったりという顔付きをしてから言った。
「寄生虫は様々な病気の素じゃない。馬鹿息子め一本取られたわね?」
僕は頭を抱え破顔してから言った。
「畜生、一本取られたな」




