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望郷星55

「母さん、本当に長生きしてくれよな」と僕は傀儡の母親に涙を堪えて言った。

アガティスの葉の予言に半分蹴られたビー玉としての心を持ち僕は母さんに言った。





「母さん、悪いけれども金貸してくれないかな?」





怒りを顕わにし母さんが怒鳴った。





「何なの、又あんたお酒飲むのでしょう。あんたという子は全く懲りない子ね」




僕は眼の前にいる母親がカオスの坩堝の傀儡である事を念頭に置きつつ、悲しみをそこはかとなく湛え言った。





「そう言うなよ母さん、俺が金欠病なのは知っているじゃないか?」





母さんが再度苛立ち怒鳴る。





「そんなに酒ばかり飲んでいたら金なんか貯まるわけないじゃない、あんたって子はもうどうしようもない子ね!」





偽物の母親でも僕を思う気持ちは全く同じなので、僕は涙を堪えわざとらしく微笑み言った。





「どうしようもないろくでなし息子にどうかお恵みを」





「恵む程家は裕福なんかじゃないわよ、馬鹿息子!」





僕はほろ苦さに泣き笑いの表情を浮かべ言った。





「馬鹿息子有っての母さんじゃないか、母さん」





母さんが憎まれ口をきき言い放った。





「あんたなんかいなくても母さん長生きするわよ、馬鹿息子」





間もなく又この母親とも離別する事を思い、僕はいみじくも言った。





「母さん、本当に長生きしてくれよな」

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