表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/310

望郷星41

「戻るんだ田村、戻らないと鮫のワームホールに食われてしまうぞ!」と僕は喚いた。

入った途端真っ暗なトンネルの闇に僕等の身体はめくるめく浮いた。





無人島の海に潜水した時と同じ無重量状態だ。




眼は暗黒の闇に何も見えないが身体は重力の束縛から解き放たれ、上下左右の感覚が完全に失せてひたすら軽く、身体の不調も嘘のように消え失せている。




それはひたすら衰弱死から免れる心地好い感覚なのだが、それに相反して僕はワームホールの鮫の牙が漆黒の闇の中に潜み、今にも襲われるような恐怖感にわしづかみにされ、僕は傍らで漂っている田村に対して声を限りに喚いた。




「戻ろう、田村、戻らないと俺達の命は無いぞ!」





田村が漂う事に恍惚としながら答える。





「ちょっと待ってくれ。迷路に戻ったって俺達の命は遠からず無いぞ?」





僕は闇を漂いながら再度喚いた。





「戻るんだ、田村、戻らないと鮫のワームホールに食われてしまうぞ!」





心地好さに陶酔している田村が尋ねる。





「だから、どうやって戻るんだ?」





僕は再度喚いた。





「がむしゃらに泳げ、泳ぐしかない!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ