37/310
望郷星37
「この迷路もじわじわと絶対死に近付ける、言わばワームホールの片割れと見てよいのかもしれないな」と僕は深呼吸してから言った。
迷路が刻一刻と変化し出口としての突破口を見出だせないままに歩きながら田村が言った。
「この迷路のどこかにパラソルが落ちている筈なのだがな…」
僕は追従するように言った。
「それが無いと俺達は破滅だな」
田村が滲む汗を拭い言った。
「そうだな。お互い衰弱して倒れ、狂って同士討ちを展開するはめになってしまう」
僕はいみじくも言った。
「この迷路もじわじわと絶対死に近付ける、言わばワームホールの片割れと見てよいのかもしれないな」
田村が頷き答える。
「じわじわと来る分、苦しみのたうちまわるから、余計質が悪いわけだ」
僕は深呼吸してから言った。
「しかし出口のキーワードがパラソルになっているのも、カオスの坩堝に上下左右撹拌されて変化している可能性はないか?」
田村が再度脂汗を拭い答える。
「そうなっていない事を祈るばかりだろう」




