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望郷星33

そしていきなり田村のその声が僕の耳に遠く聞こえ、縮んだ後点になり、僕はその点になったままに、吊橋から身を投げた。

田村が改めてしみじみと言った。





「しかしカオスの坩堝に在っては時間空間概念に単一性を求めるのは不可能な事かもしれないな」





僕は表情を曇らせ尋ねる。





「それはどういう事だ?」




「同じ事の繰り返しなど絶対に有り得ないという事さ」




そしていきなり田村のその声が僕の耳に遠く聞こえ、縮んだ後点になり、僕はその点になったままに、吊橋から身を投げた。





何故か死に対する恐怖感もなく、点が線として目まぐるしく回る不条理で矛盾した高速回転を味わいつつ、僕は白い波飛沫が岩を打つ岩場に足から舞い降り、両足で立ち上がった。




そんな僕に田村が手を挙げて声をかけて来た。




「よし、ジャンプ成功だな。これからあの灯台を経由して海浜公園に再度入り、成美ちゃん探索に入ろう」





僕は首を傾げ尋ねる。




「ちょっと待ってくれ。俺達は無人島の砂浜にいて成美ちゃんを救出するのではなかったのか?」




田村が眉をひそめ僕に言い放った。





「何を寝ぼけた事を言っているのだ。早く公園の迷路に戻り成美ちゃんを救出しないと、村瀬の毒牙にかかってしまうぞ」





僕は自分の記憶をまさぐるように再確認しつつ尋ねる。





「迷路に入る際のキーワードは何だ、田村?」





田村が答える。





「パラソルとビー玉さ。早く行こう」




僕は再度首を振り不承不承返事を返した。





「分かった…」

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