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望郷星301

「そうとも取れるが、俺はお前との夢を共有し、その夢自体が手の温もりになっていると考えてもいいだろうな」と田村は言った。

僕は田村に尋ねた。




「田村、お前は俺に語りかけているだけなのに何故俺と手を繋ぐ事が出来るのだ?」





田村がはにかむように微笑み答えた。





「俺がお前を心配しているからそうなるのだろう、きっと」




「俺はお前の声の温もりを手の温もりと勘違いしているのか?」




田村が照れを隠すように事務的に答えた。





「そうとも取れるが、俺はお前との夢を共有し、その夢自体が手の温もりになっていると考えてもいいだろうな」





僕は独りごちるように言った。





「夢に語りかけ、夢を共有し、その夢の中で手を繋ぐ温もりか…」





「夢とはそんなものだろう。だが手を離すなよ。この手の温もりは命綱、夢の懸け橋だからな」





僕はその言葉を聞き、安心して何だか眠くなって来たので尋ねた。





「おい、田村、夢の中で眠くなる事なんか有るのか?」





田村が答える。





「手の温もりが温かいから、それはあるだろうな。眠たくなったら眠ればいいさ。その夢の中でお前は村瀬の悪夢を退ける故郷を回想するのだから」





「その夢から覚めて、又俺は夢の中で目覚め、欠如した記憶を取り戻して行くのか?」





田村が答える。





「いや、正確に言えば、お前は村瀬の悪夢を退ける為にノスタルジックな回想をして、欠如分を思い出し、夢の夢に目覚めるのだが、そんなのはどちらでもいいか…」





僕は言った。




「田村、俺は眠くなって来た。少し眠るから手を離さないでいてくれよ?」





田村が頷き答えた。





「分かった」

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