望郷星298
どん詰まりの状況を見透かすように田村が助け船を出して来た。
どん詰まりの状況を見透かすように田村が助け船を出して来た。
「おい、成美ちゃんとの通信が成功したぞ。今成美ちゃんと替わるから話しをしてみてくれ」
夢見の中で聞き耳を立てて僕が待っていると、成美ちゃんが冷静な口調で話し掛けて来た。
「これから私がこの緊迫した状況を突破する方法を教えますから、言われた通りに動いて下さい」
僕は成美ちゃんに向かって通信瞑想を施し尋ねた。
「どうしたらいいんだ。成美ちゃん?」
成美ちゃんが答える。
「まず村瀬さんから集めた悪夢の入っているポケットに貴方が飛び込むのです」
その言葉を聞き僕は怖じけづき尋ねた。
「そんな事をしたら俺は村瀬の悪夢に食い殺されてしまうじゃないか、成美ちゃん?」
成美ちゃんが僕に安心感を与える穏やかな声で答える。
「大丈夫です。焦らずにゆっくりと虚空のポケットに貴方の心眼を入れてみて下さい。ここでの必要項目は焦らずゆっくりと入る事なのです」
僕は間を置き答えた。
「分かった。ゆっくりと焦らずに入ればいいのだね、成美ちゃん?」
「そうです。やってみて下さい」
僕は虚空のポケットに恐る恐る近寄り、一度深呼吸してから、心眼をその懐にそっと入り込ませた。
そこには漆黒の闇が待ち受けていて、僕は瞬時に怖じけづき踵を返し脱出しようとするのを田村の声が止めた。
「駄目だ、戻るな。俺はお前の傍にいるから、こちらの方に進んで来るんだ」
僕の心眼は上下左右の感覚が失せた漆黒の闇の中を漂いながら答えた。
「分かった。今からそちらに行くから待っていてくれ、田村」
その声を聞き付けて成美ちゃんが再度注意を促した。
「焦らずにゆっくりと慎重に進んで下さい」
僕は答えた。
「分かった、成美ちゃん」




