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望郷星294

「義務で託けて、自身に嘘をつく欺瞞性で命は懸けられないぞ?」と僕は夢見術の中で己に問い掛けた。

僕は夢見の瞑想で己が本来的に何を望んでいるのかを、己自身に鋭意問い掛けた。




「まず改めて問うが、お前は成美ちゃんへの想いを遂げる事なく、成美ちゃんの分身と婚姻を為し、子供さえも授かったのだが、その行為に自分に嘘をつく欺瞞性はなかったのか?」





その問い掛けに僕は答える。




「欺瞞性は無い。何故ならば、分身であろうがなかろうが、成美ちゃんは成美ちゃんであり、その成美ちゃんと添い遂げる事が叶ったのだから、俺に己に嘘をつく欺瞞性は無い」




「しかしお前が結婚した成美ちゃんは全く別の容姿をしており、別人格の分身ではないか。それは成美ちゃんに有って成美ちゃんに非ずならば、お前に取ってそれは自分の気持ちに嘘をつく不本意な事柄ではないのか?」





僕は反論した。




「再度念を押すが、成美ちゃんの心には村瀬しかなく、そこに入り込む余地が無いのは自明の理ならば、そこで俺が病気の母さんを喜ばせる為に、成美ちゃんの分身と添い遂げた事に俺自身の欺瞞性など微塵も無いではないか」




「お前はあくまでも母さんを喜ばす為に、自分の心に嘘をつき、成美ちゃんの分身だとこじつけて不本意に婚姻を為したのならば、そこに己に嘘をついている欺瞞性はあると認めるべきだろう、違うのか?」





「こじつけでは無い。妻は成美ちゃんの分身だ。それは成美ちゃん自身が言った事柄なのだから間違いないではないか」





「それはお前の都合のよい幻覚妄想の類いならば、いずれにしろ欺瞞性は免れまい。違うのか?」





「欺瞞性は無い。俺は妻を産まれて来る子供共々心の底から愛している」




「本当か?」





「本当だ!」





「義務で託けて、自身に嘘をつく欺瞞性で命は懸けられないぞ?」




「俺は妻を愛している」

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