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望郷星281
そして村瀬は又しても僕の心眼に気が付かず、殺人を愛でるように嘲笑い、そのまま立ち去って行った。
僕は念を押す為に再度瞬きを繰り返し、夢見で村瀬の犯す殺人現場に赴いた。
時空を遡り、僕は妻の元夫が通り魔に遭遇して刺殺されようとしている現場を目の当たりにしている。
村瀬に憑依された中年男が道路ですれ違い様、元夫にいきなり出刃包丁で切り付け、腕を切られた元夫が眼を見開いて驚愕し、切られた二の腕を右手で押さえながら絶叫を上げ逃げ出したのを、中年男が体当たりをかまして、元夫を押し倒して馬乗りになり出刃包丁でめった刺しにして行く。
絶叫を上げながら血みどろの元夫は手足をばたつかせて抵抗するが、やがて抵抗虚しく力尽き、小刻みに痙攣しながら瞳孔反射が失せ、事切れて行った。
僕の心眼はまんじりともせずにその殺人現場の推移をじっと凝視しながら、村瀬の動向を再度窺っている。
そして村瀬は又しても僕の心眼に気が付かず、殺人を愛でるように嘲笑い、そのまま立ち去って行った。




