望郷星28
手鞠歌が悲しい無色透明の回転を繰り返し、転がるハードなランニングに僕は狂喜しているのと同時に悲しみを湛えている。
田村への友情が坂を転がる無色透明な風船となり、僕の走る足音が無数の針になり、その風船を追いかけ刺すが、割れているが同時に割れていないもろくもあり、強靭でもある風船の細胞としての友情の心が僕の心の細胞を揺らし、僕は泣き笑いしている道化となっている。
滴り坂を転がるアドバルーンを見上げる花束としての友情迷路。
僕は田村への友情を憎悪しつつ礼賛すべく喚く。
「田村、お前は俺の友情の百足の死体だから、汚辱まみれになるのは友情の汚れだから死なないで欲しいが、殺す、だがら全身黒塗りの無差別タイヤの回転を煙りにする為に非情に殺すが、田村、生き残って欲しいが殺してやる、田村、ボタンはもうすでに掛け違えたから田村パラソルのバラバラ鈴の音のように割れて死ぬ、田村!」
下っているが平面の無としての上下複合型迷路をさ迷いながら迷子になっている僕は自問自答を繰り返し、田村としての僕になって泣き笑い喚く。
「俺は笑ってはいないぞ!」
哀しみが喜びを破壊しながら、同時多発的複合型感情としてある哀しみのけだるい喜びを噛み締める泣き笑いを浮かべて僕は喚く。
「田村、笑うな、生きて死ね、ぶっ殺す!」
手鞠歌が悲しい無色透明の回転を繰り返し、転がるハードなランニングに僕は狂喜しているのと同時に悲しみを湛えている。




