望郷星274
瞑想が夢見術となった事に村瀬は気がついていない。その事実を僕は直感で感じ取った。
瞑想が夢見術となった事に村瀬は気がついていない。
その事実を僕は直感で感じ取った。
勿論それは言魂となってしまうので口外は一切していない。
村瀬は我が一族や知り合いを皆殺し、根絶やしにする事に腐心し、僕の夢の部位まで気が回らないようだ。
圧倒的強さは油断を生むの道理か。
僕は夢に出てきた少女の言葉に内心従い、逆ユートピアとしての逆転勝利を希求して、表面上歎き苦しみながらも夢見術を隠密裡に行っている。
夢見術はそのまま瞑想に繋がっている事実。
夢うつつの中で瞬きをするイメージ法を駆使して、夢自体を変化させて行くやり方は仙道瞑想と同一であると定義出来る。
一族、知り合いの中の犠牲者は十人を越えた。
矢継ぎ早の葬儀に涙も見せず参列しながら、母さんは完全に腹を括っており、一族の者に警戒を促す事も取りやめ、心配事と言えば妻が身重で、それだけを心砕き気遣っている。
妻も母さんと同じ状態であり、いたずらにうろたえ動揺したりせず、警戒怠りなく慎重且つ細心に日常生活を送っている。
そんな折り母さんが僕に向かって言った。
「村瀬とか言う畜生は万人殺しても怨みは晴れない憐れな奴だな。こんな老婆の命なんか取っても怨み晴れず何の足しにもならないのに、憐れな奴め」




